妊婦さんのお腹の膨らみが目立つようになる妊娠16週。つわりが落ち着いて余裕を感じられる一方で、徐々に体型が変化してくることで、日常生活にも影響を受けやすい時期といえるでしょう。ここでは、妊娠16週の胎児と母体の特徴をご紹介します。
また、妊娠16週の過ごし方のポイントもお伝えします。出産へ向けて身の回りの環境を整えながら、妊婦さんが快適に過ごすために工夫してみましょう。
妊娠16週の基礎知識
妊娠16週目に達すると、胎児の頭殿長が約100ミリに達します。一般的に安定期と呼ばれるのもこの時期からです。妊娠16週の基礎知識をお伝えします。
妊娠16週とは
妊娠16週は妊娠5カ月の1週目で、妊娠中期にあたります。妊娠5カ月頃は、一般的に「安定期」と呼ばれる時期です。安定期には妊娠初期と比べると胎児が流産するリスクが低くなるほか、妊婦さんのつわりの症状が落ち着いてくるといわれます。子宮では胎盤の形や機能が出来上がりはじめ、胎児のいる環境が安定してくる段階です。妊婦さんによっては妊娠16週頃から胎動を感じる方もいらっしゃいます。一般的に胎動は妊娠18~20週頃から感じ始めることが多いといわれますが、あくまで個人差があります。妊婦健診の超音波検査で胎児の動きを確認できれば問題ないため、焦らずに過ごしましょう。
妊娠16週の胎児の特徴
妊娠16週の胎児は、頭の先からおしりの先までの長さ(頭殿長)が約100ミリに達します。筋肉や骨格の発達が進み、体のなかで重要な器官はほぼ形成されている状態です。また、この時期になると胎児に皮下脂肪がつき始めます。手を口元に持っていくような仕草や、顔を触るような仕草が見られることもあるでしょう。
超音波検査で性別を判定しやすくなるのは、妊娠20週頃からだといわれています。ただし、妊娠20週を過ぎても、胎児の姿勢や角度によっては性別がわかりにくい場合があります。超音波検査はあくまで胎児の経過観察や異常の早期発見のための検査であると理解しておきましょう。また、医療機関の方針によっては、妊婦さんに尋ねられるまで胎児の性別を知らせない場合があります。性別を知りたいときは、まず担当医にご相談ください。
妊娠16週の妊婦の状態
妊娠16週で安定期に入ると、妊婦さんのつわりが落ち着いてきます。周囲の方へ妊娠報告をしても良いでしょう。ここでは、妊娠16週の妊婦さんの状態についてお伝えします。
全体的に体に皮下脂肪がついてくる
妊娠16週になると、子宮が大きくなりお腹の膨らみが目立ち始めます。妊婦さんは衣服のサイズが変わるだけでなく、眠るときの姿勢にも工夫が必要となることもあるでしょう。さらには、全体的に皮下脂肪がつき、お尻や胸も大きくなってきます。妊娠16週は生まれた子どもに与える母乳を準備するため、乳腺が発達してくる時期でもあります。出産が近づくにつれて乳房の下部から脇にかけてボリュームが出て、最終的にはサイズが2カップ以上大きくなることも珍しくありません。普段の服装では乳腺の発達を妨げないことが大切です。
つわりが落ち着いてくる
一般的に、つわりが落ち着いてくるといわれるのは、妊娠12~16週頃です。この頃になると食欲が出てくる妊婦さんもいます。吐き気や嘔吐の症状が落ち着いて、食べられるものの種類が増えたり、食べる量が増えたりしたら、出産へ向けて適切に体重を増やせると理想です。ただし、一度つわりが落ち着いても、再び吐き気や嘔吐の症状が見られるケースがあります。子宮が大きくなり胃が圧迫されたり、体型の変化が睡眠不足やストレスにつながったりするのが主な原因です。体調が落ち着いたら、無理のない範囲で活動を始めましょう。
妊娠16週の過ごし方
妊娠16週には妊婦さんの体調が安定しやすいものの、お腹の膨らみが大きくなると体型に合わせて過ごす工夫が必要です。妊娠16週の過ごし方のポイントをお伝えします。
マタニティウェアを用意しておく
妊娠16週目を迎えてお腹が目立ち始めたら、普段からゆったりとした服装をするのが望ましいでしょう。安全かつ快適に過ごすために、妊婦さんの体型に合わせてデザインされたマタニティウェアを用意することをおすすめします。体の締めつけが少なく、動きやすいウェアをお選びください。マタニティウェアのなかには、入院中に着られるタイプや、産後の授乳に対応できるタイプがあるため、長く着られるものを選んでも良いでしょう。
また、出産へ向けて胸が大きくなるのに合わせて、マタニティブラジャーもご用意ください。乳房が発達してくる妊娠16週頃は、硬いワイヤーの入ったブラジャーや胸を強く締めつける下着を着用するのは、できるだけ避けておきましょう。着用時の不快感から気分が悪くなるおそれがあります。伸縮してバストのサイズアップに対応できるタイプや、授乳できる機能の付いたタイプなど、便利なマタニティブラジャーも活用しましょう。
急激な体重増加に気をつける
つわりの影響でほとんど食事を摂れない日が続いていた妊婦さんも、妊娠16週を過ぎてつわりが終わると、食欲が増す傾向にあります。妊婦さんは出産へ向けて適切に体重を増やす必要がありますが、急激な体重増加にはご注意ください。目安としては、1週間に0.5kg以上増えている場合には、体重が急激に増加していると考えられます。妊娠週数の適正体重を参考にしながら、徐々に体重を増やしていくよう心がけましょう。
急激な体重増加を予防するためには、定期的な体重測定を行うことが大切です。体重の記録をとり、日々の生活を見直す習慣をつけましょう。食生活では、栄養バランスに大きな偏りがないこと、過剰なカロリーや塩分を摂取しないことを意識します。また、引き続き適度な運動を続けて、出産へ向けて体力を付ける必要があります。お腹が大きくなっても無理なく取り組みやすいウォーキングや、マタニティ向けのヨガやエアロビクスなどに取り組みましょう。
横向きに寝る
妊娠16週の妊婦さんは、横になるときや眠るときの姿勢で苦しさを感じやすくなることがあります。お腹が大きくなり仰向けの姿勢で寝るのに不快感をおぼえるようになったら、横向きで寝始めましょう。お腹の大きい妊婦さんが仰向けで寝ると、子宮の重みで血管が圧迫されて血流が悪くなるおそれがあります。人によって負担が少ないと感じる姿勢は異なりますが、一般的には体の左側を下にして横向きに寝て、腕や膝を曲げておくと楽だといわれます。膝の下にクッションを入れたり、頭や足を高くしたり、右側を下にしたりする方法を試しても良いでしょう。仰向けで苦しさを感じ始めるようになったら寝方を工夫してみてください。
歯科検診を受けておく
安定期に入った妊婦さんは、歯科検診を受けておくよう推奨されています。その理由は、妊娠中の女性ホルモンの影響により、虫歯や歯周病になりやすいためです。お口のなかで細菌が増殖しやすくなったり、唾液の量が減ったり、口腔環境が悪化すると虫歯や歯周病のリスクが高まります。また、つわりがひどい妊婦さんは歯磨きを行うのが難しく、十分な口腔ケアができないことも。体調が安定しているうちに、歯科検診を受けておきましょう。妊婦さんが虫歯や歯周病にかかると、胎児に影響を与えるおそれもあります。妊婦さんと胎児の健康維持のために、妊娠中は歯の健康も意識することをおすすめします。
妊娠16週に必要な準備を整えましょう
妊娠16週は妊娠中期にあたり、多くの方はこの頃から安定期に入ります。胎児は頭殿長が約100ミリに達し、なかには胎動を感じ始める妊婦さんもいらっしゃいます。母体はつわりが落ち着いてくることが多く、体調が安定する一方で、お腹の膨らみが目立つようになる段階です。さらにはお尻や胸も大きくなり、体型の変化を感じやすい時期でもあります。
体型が変わり動きにくさを感じ始めたら、普段身につける衣服や下着をマタニティ用のものへ変えると良いでしょう。日常生活では、適切に体重を増加させたり、歯の健康に気をつけたりしながら、徐々に出産へと備える意識を持ちます。妊娠16週に必要な準備を整えるうえで、ご紹介した内容をぜひ参考にしてみてください。
監修者
自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科 桑田 知之
専門・実績
周産期医学、超音波診断学。とくに出生前診断、胎児形態異常。自動胎動カウントによる胎児well-beingの評価。経膣超音波等の自動追従型超音波ボディマーカーの開発。超音波装置の安全に関する研究。
所属学会
日本産科婦人科学会(専門医)、日本超音波医学会(専門医・指導医・代議員)、日本周産期新生児学会(専門医・指導医・評議員)、日本周産期メンタルヘルス学会(評議員)、日本分娩監視研究会(幹事)他
運営者情報
NIPT平石クリニック
高齢出産が増えている傾向にある日本で、流産のリスクを抑えた検査が出来るNIPT(新型出生前診断)の重要性を高く考え、広く検査が知れ渡りみなさまに利用していただける事を目指しております。