妊娠9週目は赤ちゃんがヒトの形へと成長し、体のパーツや心拍などの確認ができるようになる時期で、妊婦の体型や体調に変化があらわれ始めます。本記事では、妊娠9週目の赤ちゃんや妊婦の特徴や変化、受けておきたい検査などを解説します。
妊娠9週目とは何ヶ月目のことを指す?
妊娠9週目は妊娠3ヶ月と2週目の妊娠初期にあたる時期です。妊娠週数は最終月経日の初日を0週0日として「満」で数えます。一方、妊娠月数は「数え」で数えるため、妊娠0週1日目から妊娠1ヶ月と数えます。妊娠週数と月数、日数の数え方は以下の通りです。
妊娠月数 | 妊娠週数 | 妊娠日数 |
1ヶ月 | 0週 | 0〜6日 |
1週 | 7〜13日 | |
2週 | 14〜20日 | |
3週 | 21〜27日 | |
2ヶ月 | 4週 | 28〜34日 |
5週 | 35〜41日 | |
6週 | 42〜48日 | |
7週 | 49〜55日 | |
3ヶ月 | 8週 | 56〜62日 |
9週 | 63〜69日 | |
10週 | 70〜76日 | |
11週 | 77〜83日 |
上記の通り、妊娠9週目は月数でいえば妊娠3ヶ月に該当します。
妊娠9週目になると、赤ちゃんはヒトらしい形に近づきます。なお、妊娠8週未満までの発育が未熟な状態の赤ちゃんを「胎芽(たいが)」と呼び、妊娠8週以降から胎児と呼ぶことも押さえておきましょう。
参照:内閣府「「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」見直し等に係る報告」
妊娠9週目の赤ちゃんの発達状況
妊娠9週目の赤ちゃんは頭の先からおしりの先までにあたる大きさ(頭殿長)が15〜30mmほどとなり、体のパーツができ始めます。顔の輪郭や手足の指などの細かい部位ができる他、首ができて頭と体の区別が分かるようになります。
生殖器も発達し始めますが、エコー検査ではぬいぐるみのように見えるため性別の判定はまだ難しいでしょう。妊婦健診でのエコー検査で性別が分かるのは、妊娠中期にあたる妊娠17週目以降が目安です。
また、胎児の心拍数がピークを迎えるのもこの時期です。胎児の心拍は早ければ妊娠5週目から確認でき、妊娠9週目までほぼ直線的に心拍数が増加します。その後徐々に減少して安定していきます。
参照:産婦人科医会「6.正常所見8-10週」
参照:産婦人科医会「11.それは正常所見です!(初期)」
妊娠9週目の母体の変化
妊娠9週目は妊娠ホルモンの分泌量が増え、母体も徐々に変化しはじめる時期です。子宮が大きくなるため、腰回りや下腹部に膨らみが感じられるようになります。お腹の膨らみはまだ目立たず体重の変化も見られませんが、妊娠前に身につけていた衣服がきつく感じるようになるでしょう。
妊娠ホルモンの分泌量が増えることで、おりものの量が増えたり少量の出血が見られることもあります。妊娠初期によく見られる症状ですが、出血が多い場合や下腹部痛を伴う場合には医師に相談しましょう。
また、この時期につわりの症状がひどくなることがあります。腹痛や吐き気などがひどく、十分に食事がとれないケースもあるでしょう。一方で、食欲が増したり妊娠前と食の嗜好が変化するケースも珍しくありません。つわりは妊娠12〜16週頃にはほとんど治まります。つわりを乗り切るため、固形物や刺激の強いものの摂取は避けたり、脱水にならないよう注意したりして過ごしましょう。
参照:日本整脈経腸栄養学会雑誌,伊藤明美「妊娠から産褥までの栄養管理」
妊娠9週の壁とは?
「妊娠9週の壁」とは、妊娠9週の時期に流産が発覚するケースがあることから呼ばれるようになった言葉です。妊娠を継続できるかどうかの関門であり、この壁を乗り越えると流産率は低下すると考えられています。
妊娠8週末時点で正常な心拍が確認できれば、妊娠が順調であると考えられます。しかし、胎児の心拍が弱かったり停止したりしている場合は流産に至るケースが少なくありません。オーストラリアで行われた研究によると、妊娠9週までの流産の確率は6週で9.4%、7週で4.2%、8週で1.5%、9週で0.5%です。
流産が起こる確率は妊娠の15%前後であり、8割以上が妊娠初期にあたる妊娠12週未満の早い時期に起こります。妊娠初期の流産は、赤ちゃんの染色体異常が原因です。妊婦の努力で防ぐことは難しいと理解しておきましょう。
参照:日医大誌「産婦人科疾患(妊娠の診断)」
参照:産婦人科医会「8.稽留流産の診断」
参照:Stephen Tong, Anupinder Kaur, Susan P Walker, Valerie Bryant, Joseph L Onwude, Michael Permezel「Miscarriage risk for asymptomatic women after a normal first-trimester prenatal visit」
妊娠9週目に妊婦さんが行うべき検査
妊娠9週目には、妊婦健診の一環として主に以下の検査を受けましょう。
- 血液検査
- 子宮頸がん検査
- エコー検査
血液検査では血液型や血糖値、貧血、感染症の有無などを調べます。妊婦がHIV(エイズウイルス)や風疹、梅毒などに感染している場合、胎児への感染や先天性異常につながる恐れがあります。
また、子宮頸がんは進行具合によっては妊婦の命に関わることもあるため、妊娠初期に検査を受けることが大切です。安心して出産を迎えられるよう、感染症や子宮がんが見つかった場合は早期に治療を受けましょう。
エコー検査では胎児の大きさや心拍などを確認します。赤ちゃんの成長を確認するための検査として、定期的に受けましょう。
なお、染色体異常を調べるNIPT(新型出生前診断)は妊娠10週目以降から可能です。ダウン症など染色体異常による先天性の疾患を事前に調べたい場合は、医師に相談してみましょう。
参照:厚生労働省「妊婦健診Q&A」
妊娠9週目に妊婦さんがすべきこと・気をつけること
妊娠9週目は体型の変化やつわりの悪化などが起きやすい時期です。体型の変化を感じはじめたら、腰回りの締め付けが少なくリラックスできるマタニティーウェアを選ぶようにしましょう。胸が大きくなっている場合は、バストサイズの変化にあわせてサポートするマタニティブラの着用がおすすめです。
また、つわりがひどく食事が十分に摂れない場合は、食べられないものを無理に食べようとしないことが大切です。自分が食べやすいと思えるものを食べるようにしましょう。
妊娠9週目のさまざまな変化に対応して妊娠に備えよう
妊娠9週目は胎児がヒトらしい形へ近づき、顔の輪郭や手指の形などが分かるようになる時期です。妊婦にとっても、腰回りが大きくなったりつわりがひどくなったりといった変化が現れ始めます。
一方で、「妊娠9週の壁」と呼ばれるように流産の可能性も高まる時期でもあります。母子ともに健康で出産まで迎えるには、妊婦健診などで定期的な検査を受けることが大切です。また、胎児の染色体異常による先天性疾患の有無を調べたい場合は、NIPT(新型出生前診断)を受けましょう。
平石クリニックでは妊娠10週目からNIPT(新型出生前診断)が受けられます。妊娠初期のできるだけ早い段階での出生前診断を検討している方は、ぜひ平石クリニックへご相談ください。
監修者
自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科 桑田 知之
専門・実績
周産期医学、超音波診断学。とくに出生前診断、胎児形態異常。自動胎動カウントによる胎児well-beingの評価。経膣超音波等の自動追従型超音波ボディマーカーの開発。超音波装置の安全に関する研究。
所属学会
日本産科婦人科学会(専門医)、日本超音波医学会(専門医・指導医・代議員)、日本周産期新生児学会(専門医・指導医・評議員)、日本周産期メンタルヘルス学会(評議員)、日本分娩監視研究会(幹事)他
運営者情報
NIPT平石クリニック
高齢出産が増えている傾向にある日本で、流産のリスクを抑えた検査が出来るNIPT(新型出生前診断)の重要性を高く考え、広く検査が知れ渡りみなさまに利用していただける事を目指しております。