
アスペルガー症候群の症状の現れ方や程度には個人差があります。幼少期には見落とされる場合が多く、大人になってから診断されるケースも少なくありません。
この記事では、アスペルガー症候群の特徴や診断方法、治療法などについて詳しく解説します。
出産前にアスペルガー症候群が診断可能かどうかも解説するので、現在妊娠している方や妊娠を考えている方も参考にしてください。
アスペルガー症候群とは
アスペルガー症候群は自閉スペクトラム症(ASD)の一種で、社会性やコミュニケーションの障害、特定の行動パターンが特徴的な発達障害です。
言語や知的発達の遅れはほとんど見られないため、障害として発見されにくい傾向があります。自閉スペクトラム症は約100人に1人の割合で見られ、男性の発症率は女性の約4倍と報告されています。
2013年に診断基準が改訂され、アスペルガー症候群は自閉スペクトラム症(ASD)として統合されました。以前は「広汎性発達障害」に含まれていた障害群がASDとして包括的に扱われるようになり、個人差や他の障害との併存を踏まえた診断が行われています。
参照:e-ヘルスネット「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について」
アスペルガー症候群の特徴
アスペルガー症候群には、大きく3つの特徴があります。
・社会的コミュニケーションが困難
・対人関係の構築が困難
・特定の興味やこだわりの強さ
それぞれの特徴を詳しく解説します。
社会的コミュニケーションが困難
アスペルガー症候群の人は、他者とのコミュニケーションにおいて言葉の解釈や状況の理解が難しい傾向があります。
言語発達の遅れはほとんどないため表面的なコミュニケーションは取れますが、相手の意図を汲み取るための「行間を読む」ことが苦手で、暗黙のルールや冗談、皮肉を理解できません。比喩や遠まわしな表現、相手の表情から感情を察することも不得意です。
社交辞令や冗談を真に受けて傷ついたり、反論して相手に不快感を与えたりすることも少なくありません。職場や学校などの集団生活では、ルールや人間関係の微妙な関係性を理解することが求められますが、これらが苦手なため社会的に孤立することがあります。
対人関係の構築が困難
アスペルガー症候群の人は、相手の気持ちや感情を理解し、共感することが難しいため、対人関係の構築に苦労することがあります。
共感に関わる脳の領域の機能や活動が一般の人とは異なるため、相手の気持ちを察することが難しく、誤解を招いたり、関係がぎくしゃくしたりすることがあります。
対人関係においては相手の表情や言動を読み取ることが重要です。しかし、アスペルガー症候群の人はこれらの微細なサインを理解するのが苦手で、対話が円滑に進まないことがあります。
特定の興味やこだわりの強さ
アスペルガー症候群の人は、特定の物や場所に強いこだわりを持ち、一度関心を示すとその分野に深くのめり込みます。
興味の対象は人それぞれで、たとえば数字に執着したり、特定の行動を繰り返したりすることが特徴的です。
こだわりの対象や自分のルールが変化することに対し、強いストレスや不安を感じる傾向があります。これは、想像力の欠如により変化に対応することが難しいためです。
そのため、日常生活の行動や習慣がパターン化しやすく、決まったルーティンや独自のルールを崩されるとパニックを引き起こすことがあります。
このようなこだわりの強さは脳の機能に関係しているため、育て方や環境が原因ではありません。
アスペルガー症候群の顔つきの傾向
アスペルガー症候群には、顔つきや表情にも特徴が見られます。外見的な特徴としては、以下の傾向が挙げられます。
・額が広い
・口が大きい
・鼻と上唇の間の溝が目立つ
・中顔面が短い
・目の幅が広い
また、相手や状況に応じた表情の理解や感情表現が難しいため、表情が乏しいことも特徴的です。相手に「無関心」「冷たい」といった印象を与えることもあります。
さらに、相手と視線を合わせることが少ない傾向もあります。視線が合いづらい理由としては、感覚過敏による緊張や不安が要因として考えられるでしょう。
ただし、こうした特徴には個人差があり、すべての人に当てはまるわけではありません。
参照:ミネルバクリニック「自閉症スペクトラム(ASD)は顔つきに特徴がある?医師が解説」
アスペルガー症候群の子どもの特徴
アスペルガー症候群の子どもは、以下のような特徴があります。
・名前を呼んでも反応しない
・年齢のわりに大人びた話し方をする
・同じおもちゃで遊び続ける
・ごっこ遊びが苦手で1人遊びを好む
・特定の物や位置などに強いこだわりを持ち柔軟に対応できない
・興味の範囲が限定的で興味のないことには関心を示さない
アスペルガー症候群は言語や知的な発達の遅れがほとんど見られないため、子どもの頃は単にわがままな行動として誤解され、見過ごされやすい傾向があります。
成長とともに対人関係の困難さが目立ちはじめ、大人になってからはじめて診断されるケースも少なくありません。
アスペルガー症候群を発症する原因
アスペルガー症候群の原因は明確には特定されていませんが、以下の複数の要因が関係していると考えられています。
・遺伝的な要因
・環境的な要因
それぞれの要因を詳しく解説していきます。
遺伝的な要因
アスペルガー症候群をはじめとする自閉スペクトラム症(ASD)は、発症の90%が遺伝的な要因として考えられています。
家族に自閉スペクトラム症(ASD)の人がいる場合、他の家族も発症する可能性が高いでしょう。
また、親から子へ受け継がれることなく、新たに生じた遺伝子の変化も発症要因の一つです。新たな遺伝子の変化は、高齢の父親から生まれる子どもで発生しやすいとされています。
参照:J-STAGE「発達障害における遺伝性要因(先天的素因)について」
参照:精神神経学雑誌「自閉スペクトラム症における両親の高齢化と脳形態特徴の関係」
環境的な要因
胎内環境や出産直後の状況も、アスペルガー症候群を含む自閉スペクトラム症(ASD)の発症要因として考えられています。
たとえば、早産児や低出生体重児では、自閉スペクトラム症(ASD)を発症する確率が高いことが報告されています。とくに、低出生体重の女児は知的障害を伴う自閉症の発症傾向が高いとされ、低出生体重の男児に比べ4倍の確率です。
発症確率が上がる要因として、出生直後の処置が赤ちゃんにストレスを与えることや、腸内細菌の影響などさまざまな理由が考えられています。
また、妊娠中の風邪やインフルエンザなどの感染症も発症の確率を高める要因の一つです。感染症にかかると母体で炎症が起こり、胎児の脳や神経系の発達に影響を与える可能性があるためです。
参照:環境省「妊婦における自閉症傾向特性と栄養摂取との関連性について」
参照:九州大学附属図書館「乳幼児期の低出生体重児の発達と母子支援に関する臨床心理学的研究」
アスペルガー症候群の診断方法
アスペルガー症候群の診断は、問診や心理検査などの情報をもとに医師が総合的に判断します。
問診では、行動や感覚、こだわりなどの特性を確認します。出生後から現在にいたるまでの情報を幅広い角度から収集するため、事前に情報をまとめておくことが重要です。
必要に応じて「AQテスト」や「WISC-Ⅳ」など、自閉スペクトラム症の診断テストが行われることがあります。
「AQテスト」は、自閉スペクトラム症の傾向や症状の特徴を調べる検査です。社会的スキルや想像力など5つの項目から50の質問をし、33点以上で自閉スペクトラム症の傾向があると判断します。「WISC-Ⅳ」は、言語理解や知覚推理など4つの指標から知能を測る検査です。
アスペルガー症候群は多くの場合、3歳までに診断がつきますが、症状や特徴には個人差があるため診断が遅れることもあります。
アスペルガー症候群の治療法
アスペルガー症候群の根本的な治療法は、現時点では存在しません。アスペルガー症候群を発症するメカニズムははっきりと解明されておらず、症状にも個人差があるからです。
そのため、治療の中心は療育や環境の調整であり、症状や特性に合わせた支援やサポートが必要となります。
療育では、言語療法や作業療法を用いてコミュニケーション能力の向上や日常生活における困難さの改善を目指します。
環境調整では、学校や家庭において子どもの特性に合わせた生活しやすい環境を整えることが大切です。視覚的なスケジュール表の作成や騒音の軽減など、子どもがスムーズに日常生活を送れるようにサポートします。
また、大人になってから診断される場合は、対人関係の困難さから不眠やうつ病などの二次的な症状が現れることがあります。日常生活に支障をきたすときは、薬物療法やカウンセリングなどの治療法が検討されます。
アスペルガー症候群は出産前に診断可能か
アスペルガー症候群を含む自閉スペクトラム症(ASD)は、成長過程で特性が現れるため、出産前の診断はできません。
アスペルガー症候群は胎児期に特性が現れず、発達に伴う行動特性にもとづいた診断が必要なためです。
赤ちゃんの遺伝子疾患を出産前に診断する方法に出生前診断がありますが、アスペルガー症候群は特定できません。
アスペルガー症候群の発症には、遺伝的要因に加えて妊娠中や出生後の環境も影響を与えることがあります。母体の健康状態がアスペルガー症候群の発症因子となる可能性があることを考慮し、定期的な健診で健康状態を確認することが重要です。
アスペルガー症候群を理解して適切に対応しましょう
アスペルガー症候群は妊娠中には診断できず、成長の過程で特性が現れ始める発達障害です。アスペルガー症候群の症状や特徴を周りが理解することは、本人の不安を軽減し適切な環境を整えるために重要です。
出生前診断ではアスペルガー症候群は検査できませんが、ダウン症やエドワーズ症候群などの染色体異常を早期に発見できます。
早期に胎児の染色体異常を診断することで、育児に関する情報収集や適切な医療機関の選定など出産に向けて準備を整えられます。
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