先天性疾患のひとつであるダウン症は、妊娠中の検査で見分けられます。「どのような検査を受ければよいかわからない」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
本記事では胎児がダウン症か見分ける検査方法や、エコー写真でわかる特徴、妊娠中の予兆の有無などを解説します。ダウン症の検査を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
胎児がダウン症か見分ける検査方法
妊娠中に胎児がダウン症か見分ける検査方法には、主に以下の4つがあります。
- 超音波検査(エコー検査)
- 羊水検査
- 絨毛検査
- NIPT(新型出生前診断)
赤ちゃんがダウン症かを早期に見分けることで、妊婦さんや家族への適切な支援や出産に向けての準備がしやすくなります。検査を受けられる時期や方法を知り、自身に合った検査を受けましょう。
超音波検査(エコー検査)
超音波検査(エコー検査)では、胎児に身体的な異常が見られないか直接確認します。赤ちゃんの様子を画像で確認するため、ダウン症の場合に見られる身体的な特徴を有していないか確認が可能です。
超音波検査には2Dエコー・3Dエコー・4Dエコーなど種類があります。このうち、4Dエコーでは立体的な静止画だけではなく動画も撮影できるため、より詳しく赤ちゃんの様子を確認できます。
ただし、超音波検査でダウン症の可能性を発見できるのは妊娠中期にさしかかる妊娠11週目以降です。そのため、妊娠中期以降にダウン症の可能性を告知されることもあります。
さらに、通常の妊婦健診での超音波検査では医師の目視による判断のみのため、ダウン症は指摘されないことも少なくありません。より詳しく胎児の形態異常を調べたい場合は、超音波検査よりも精度が高い胎児ドッグを受けましょう。
羊水検査
羊水検査は、赤ちゃんの染色体を直接採取して染色体異常の有無を調べる検査です。穿刺針と呼ばれる細い針を妊婦のお腹に刺して子宮内から羊水を採取し、羊水内に含まれる赤ちゃんの細胞をもとに検査します。
羊水検査は赤ちゃんの染色体を直接分析するため、染色体異常の有無を確定できる確定的検査です。超音波検査(エコー検査)では身体異常が見つからなかった場合でも、染色体異常を発見できます。
羊水検査ができるのは、妊娠中期にあたる妊娠16週目以降です。また、採取した赤ちゃんの細胞を培養して分析するため、羊水採取から検査結果が出るまでに約3~4週間かかります。
なお、羊水検査後に出血や破水、下腹痛が生じる他、流産する可能性があることに注意が必要です。流産の可能性は約0.1〜0.3%(1,000人中1〜3人)程度であり、自然流産と比較しても起こる確率はそれほど高くありません。ただし、リスクがないわけではないことを理解しておきましょう。
参照:公益社団法人日本産婦人科医会「15.超音波検査と染色体検査との関連(出生前診断について)」
参照:兵庫医科大学病院「羊水検査とは」
絨毛検査
絨毛検査は妊娠早期の胎盤の一部を採取し、赤ちゃんの染色体に異常がないか調べる検査です。検査方法は以下の2種類があります。
検査方法 | 検査のやり方 |
---|---|
経腹法 | 子宮の前壁や底部に胎盤が付着している場合に実施する。腹部の皮膚に麻酔をし、注射針を刺して絨毛を採取する。 |
経膣法 | 子宮の後壁や子宮頚部に近い前壁に胎盤が付着している場合に実施する。膣に絨毛生検鉗子を挿入して絨毛を採取する。 |
どちらの方法で実施するかは胎盤の位置によって異なるため、検査前には超音波検査(エコー検査)で胎盤の位置や赤ちゃんの発育状態などを調べます。また、採取時もエコーで胎盤や赤ちゃんの状態を確認しながら行われます。
絨毛検査は、羊水検査と同じく確定的検査と呼ばれる検査です。ただし、絨毛検査も出血や破水、腹膜炎などの重症感染症が起こる可能性がある他、流産の可能性が1%程度とされています。
絨毛検査は妊娠11〜15週目に受けられるため早期に赤ちゃんの染色体異常の有無を調べられる一方、羊水検査よりも流産の可能性が高くなることに注意しましょう。
参照:公益社団法人日本産婦人科医会「15.超音波検査と染色体検査との関連(出生前診断について)」
参照:兵庫医科大学病院「絨毛検査とは」
NIPT(新型出生前診断)
NIPT(新型出生前診断)とは、妊婦さんの血液をもとに赤ちゃんの染色体異常の有無を調べる検査です。妊婦さんの血液中には赤ちゃん由来のDNAが含まれており、そのDNAを分析することで以下の染色体異常がないか調べます。
- 21トリソミー(ダウン症)
- 18トリソミー
- 13トリソミー
21トリソミーが陰性であればダウン症の可能性は低く、陽性であれば可能性が高いと判断できます。検査精度が高く、ダウン症かどうかを約96%の確率で判定できる検査です。
なお、NIPT(新型出生前診断)は非確定的検査のため、診断を確定するには確定的検査である羊水検査や絨毛検査の受診が必要です。しかし、羊水検査や絨毛検査は検査ができる時期が遅く、検査結果が出るまでにも期間がかかります。
一方NIPT(新型出生前診断)は妊娠10週目から検査でき、検査に用いる血液は腕から採取するため、母子への負担が少ないのが特徴です。早い時期に負担が少ない方法で出生前診断を行いたい場合は、NIPT(新型出生前診断)を検討してみましょう。
参照:国立研究開発法人国立成育医療研究センター「NIPT」
エコー写真からわかる赤ちゃんのダウン症の見分け方
エコー写真では赤ちゃんの発育や身体的な特徴を直接確認できます。赤ちゃんに染色体異常がある場合に見られる身体的特徴は以下の通りです。
- 首のうしろがむくんでいる
- 唇や上顎などに割れ目がある
- 鼻の付け根が低い
- 舌が大きい
- 耳が小さい
- 心臓に疾患がある
上記のような身体的な異常が見られる場合、染色体異常の可能性が高いと考えられます。
ただし、エコー写真ではダウン症だと確定診断はできません。確定診断を受けたい場合は羊水検査や絨毛検査を受けましょう。
参照:MSDマニュアル家庭版「ダウン症候群(21トリソミー)」
ダウン症は妊娠中の予兆がある?
妊娠中に赤ちゃんがダウン症だと気づけるような予兆はありません。出産年齢が高くなるほど、ダウン症の子どもが生まれる確率は高くなるといわれています。
しかし、ダウン症の主な原因である染色体異常は偶発的に発生するものです。まれに遺伝が関係しているケースもありますが、可能性は極めて低いとされています。また、ダウン症の子どもを産む人に共通する特徴はみられません。
ダウン症に関する噂の一つに「つわりが重いとダウン症の可能性がある」というものがあります。ただし、つわりはホルモンバランスの変化によって起こるものであり、ダウン症とは関係ありません。つわりとダウン症の関係に関する噂は科学的根拠がないことを理解しておきましょう。
赤ちゃんが生まれるまでダウン症かわからなかったことはある?
超音波検査(エコー検査)で身体的な異常が指摘されなかった場合や、出産前診断を受けていない場合は生まれるまでダウン症かわからないことがあります。
妊婦健診は母体の健康状態や胎児の成長を確認することが目的であり、妊婦健診での超音波検査(エコー検査)では胎児の異常発見を目的としていません。そのため、胎児の体位によっては身体的な異常が発見できないことがあります。
また、赤ちゃんの染色体異常は出産前診断や羊水検査などを受けなければ発見できません。妊婦健診のみで出産前診断を受けていない場合は、ダウン症かわからないまま出産に至るケースもあります。
参照:厚生労働省「“妊婦健診”を受けましょう(リーフレット)妊婦健診Q&A」
正確性の高いダウン症の見分け方はNIPT(新型出生前診断)
ダウン症を見分けるには赤ちゃんの身体的な特徴を確認したり、出生前診断で染色体の異常を調べたりする必要があります。超音波検査(エコー検査)や羊水検査など複数の検査方法を組み合わせることで、出産前にダウン症かを見分けられます。
正確性の高い検査を受けたいなら、母子への負担が少なく検査精度が高いNIPT(新型出生前診断)がおすすめです。平石クリニックでは赤ちゃんの先天性疾患が気になる人に向けて、NIPT(新型出生前診断)を実施しています。ダウン症を早期に見分けたい方は、ぜひ当院へご相談ください。