染色体、DNA、遺伝子について

DNAとは?

DNAは、デオキシリボ核酸のことで、英語でDeoxyribonucleic acidと表記されます。デオキシリボ核酸は、デオキシリボースとよばれる糖と塩基、リン酸からなる物質のことです。DNAを構成している塩基には、アデニン、グアニン、シトシン、チミンの4つがあります。CCGATTGなどのように長く連なっていますが、1卵生双生児以外は同じ並び順の人はいません。基本的に塩基の並び順は変わらないので、順番を調べれば個人の同定や血縁関係、遺伝病のリスクなどについてわかります。
人間の体は約37兆個の細胞で成り立っていて、細胞の中には「核(かく)」というものが含まれています。引き伸ばすと約2mの長さもあるといわれるDNAは、核の中に折りたたまれて存在しています。DNAの情報を元に、私たちの体の中ではたらく酵素やホルモンなどのたんぱく質が作られます。もし、DNAに異常が起きるとたんぱく質がきちんと産生されなくなるので病気が引き起こされる可能性があります

遺伝子とは?

遺伝子とDNAは、時々同じように使われていることがあります。
しかし、厳密には違うものを意味します。遺伝子は、DNAの中でも遺伝情報を含む部分をさします。実は、DNAの全てに遺伝情報が含まれているわけではなく、約1.5%に必要な情報があるといわれています。遺伝子の情報を元に、体の中ではたらく重要なたんぱく質が生成されます。遺伝情報が含まれている部分以外は、たんぱく質が作られる時などに調整をするというはたらきがあることがわかっています。遺伝子は、親から受け継いだ遺伝情報であると言い換えることもできます。

染色体とは?

DNAが、ヒストンというたんぱく質に巻きついたものを染色体とよびます。染色体のような棒状の形で存在することで、DNAは壊されにくくなるといわれています。染色体は、2本で1組になっています。ヒトにおいては、23組の染色体が存在しています。23組の染色体のうち、1組は性別を決定する性染色体で、それ以外は常染色体です。染色体の構造は、遺伝だけでなく、進化にも貢献したと考えられています。

DNA、遺伝子、染色体の違いとは?

DNA、遺伝子、染色体の違いをわかりやすく理解するために1冊の「本」に例えてみます。
DNAは、デオキシリボ核酸という物質のことなので、本の中に書かれている「文字」に例えることができます。
遺伝子は、DNAの中で遺伝情報が含まれる部分のことなので、意味のある「文章」に例えられます。
そして、染色体はDNAがヒストンというたんぱく質に巻きついて棒状になっているものをさし、1冊のまとまった「本」と例えることができます。
遺伝子や染色体の異常によって先天性疾患が起きることがありますが、染色体の異常の方が合併症などが多く重症になる可能性が高いといわれています。

染色体異常を調べる出生前診断とは?

染色体異常は、大きく分けると数か形の異常に分類されます
染色体の数の異常は、本来は2本ずつの染色体が3本または1本になることをさします。染色体が3本になることをトリソミー、1本になることをモノソミーといいます。
例えば、ダウン症候群として知られる21トリソミーでは21番目の染色体が本来は2本であるべきところが3本になっています
染色体の形の異常では、染色体の一部欠損、リング状への形状変化などが起きることがあります。流産の50-70%に染色体の異常が伴うことがわかっています。特に、染色体の数の異常があると早い時期に流産になりやすいといわれています。卵子の染色体異常は、お母さんの年齢の上昇に伴って増えることがわかっています。
出生前診断では、特定の先天性染色体疾患の有無、またはリスクを調べることができます。
例えば、母体血清マーカー検査では赤ちゃんが21トリソミーか18トリソミーである確率を統計から算出することができますし、NIPTでは21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーという染色体疾患の有無、性染色体、染色体の微小欠失などについてわかります。出生前診断の中でも、確定的検査といわれる絨毛検査や羊水検査では23組の染色体に異常がないか確認することができます。ただし、目で見て観察しただけではわからないような染色体の小さな変化による染色体疾患は確定的検査でも診断がつけられないこともあります。
先天性疾患は、全妊娠の約3-5%の確率で起きます。先天性疾患の約1/4が染色体疾患だとわかっています。染色体疾患の中では、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーを合わせると約7割を占めます。つまり、多くの出生前診断で調べることのできる21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーは染色体疾患の中でも大部分に相当するということです。

まとめ

DNAは物質の名前のことで、遺伝子は体にとって重要な情報を含んだ部分のことで、染色体はDNAがたんぱく質に巻きついてまとまったものをさします。時々、同じような意味で使用されていることがありますが、厳密には違います。出生前診断には、母体血清マーカー検査やNIPT、羊水検査などさまざまなものが含まれ、特定の染色体疾患について調べることもできます。検査の種類によって調べることのできる先天性疾患は異なるので、事前に検査内容を確認するようにしてください。

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NIPT平石クリニック

院長紹介
(ヒライシ タカヒサ)


専門は内科、消化器科、スポーツ医学。
いつでも頼りになる医療を、さらに日々進化する医療を常に身近に、皆様にとって、なんでも相談出来るようなクリニックを目指しております。

高齢出産が増えている傾向にある日本で、流産のリスクを抑えた検査が出来るNIPT(新型出生前診断)の重要性を高く考え、広く検査が知れ渡りみなさまに利用していただける事を目指しております。


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