2024.10.24 Thu

高齢出産で発達障害の子どもが生まれる確率は?その他のリスクも徹底解説

母体への影響


高齢出産は発達障害や染色体異常がある子どもが生まれる確率が高くなるといわれています。他にも妊娠糖尿病や流産・早産などのリスクが高くなるため、これらのリスクを回避するためのケアが必要です。

本記事では高齢出産による発達障害のリスクや、発達障害以外のリスク、高齢出産のメリットなどを解説します。高齢出産に関する理解を深めたい方はぜひ参考にしてください。

高齢出産とは?

高齢出産とは、一般的に「35歳以上の妊婦がはじめて妊娠・出産すること」または「経産婦が40歳以上で出産すること」を指します。医学用語ではなく、高齢での出産に対して一般的に用いられている用語です。

晩婚化や女性の社会進出などの社会の変化にともない、高齢出産はそれほど珍しいものではなくなりました。厚生労働省が行った調査によると、全体出生数のうち高齢出産は1995年には約9.5%でしたが2021年には約30%へ増加しているのが実情です。

参照:厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計 母の年齢(5歳階級)・出生順位別にみた出生数

高齢出産による発達障害のリスク

高齢出産の場合、生まれる子どもが発達障害をもつ可能性が高くなります。発達障害の種類には、以下が挙げられます。

・自閉スペクトラム症(ASD)
・注意欠陥多動性障害(ADHD)
・学習障害(LD)

母体の年齢が上がるにつれて発達障害の子どもが生まれる確率は高くなり、35歳以上の母親から生まれると自閉症の発症リスクが2倍以上になるというデータもあります。

また父親が高齢の場合、子どもがASDやADHDと診断される確率が高くなります。母親だけではなく、父親の年齢も子どもの発達障害に関係しているのです。
参照:保健医療科学「自閉症の環境要因
参照:環境省「おしえて、エコチル先生!(第7回)
参照:東北大学「父親の高齢化が精子形成に与える影響を解明 – 加齢精子ヒストン修飾変化と子どもの神経発達障害のリスク-

高齢出産による発達障害以外のリスク

高齢出産による発達障害以外のリスクとして以下の5つが挙げられます。

・妊娠糖尿病
・妊娠高血圧症候群
・軟産道強靭
・流産や早産
・ダウン症などの染色体異常

それぞれどのようなリスクなのか解説します。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病とは、妊娠が原因で糖尿病になってしまう症状のことを指します。妊娠前には血糖値に異常がなかった場合でも発症する可能性がある疾患です。妊娠糖尿病は高齢出産であることの他に、肥満傾向や糖尿病の家族がいる場合になりやすい傾向があります。

妊娠糖尿病になると、妊娠高血圧症候群や羊水過多、腎症などを引き起こすおそれがあります。胎児にも影響し、低出生体重児や巨大児、新生児低血糖の他、流産や子宮内胎児死亡などにつながりかねません。そのため、定期的な検診での早期発見・早期治療が必要です。

妊娠糖尿病を予防するには、食生活や生活習慣を見直すことが大切です。たとえば、栄養バランスのよい食事を心がけ、塩分や糖分を控えめにして血糖値の急上昇を抑えるように工夫しましょう。

また、適度にストレッチやウォーキングなどの有酸素運動を行うことも効果的です。ただし、妊娠の状態によっては運動しないほうがよい場合もあります。妊娠中の運動は必ず医師に相談したうえで行いましょう。
参照:国立研究開発法人国立成育医療研究センター「妊娠と妊娠糖尿病

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群は、妊娠によって内蔵や血管に負担がかかりさまざまな症状を発症した場合のことを指します。かつては妊娠中毒症とも呼ばれていましたが、2005年から高血圧を主体とした妊娠高血圧症候群に名称が変更されました。

妊娠前や妊娠20週までに高血圧を発症した場合は高血圧合併妊娠、妊娠20週以降に高血圧を発症し蛋白尿をともなう場合は妊娠高血圧腎症と呼びます。また、肝臓や腎臓などの機能障害やけいれん発作などをともなう場合も少なくありません。

妊娠高血圧症候群になると、胎盤への血流が滞り十分な栄養が行き届きにくくなります。これにより胎児の発育が悪くなったり、最悪の場合胎児死亡の原因にもなったりするため、早期治療が重要です。

妊娠高血圧症候群の治療では、降圧剤による血圧の調整やけいれん発作を抑えるマグネシウム製剤の投与などが行われます。血圧を上げないよう安静に過ごしたり、食事療法で摂取カロリーや塩分量を調整したりすることも大切です。妊婦の血圧が高くなりすぎて危険な状態と医師が判断した場合は、分娩させるケースもあります。
参照:公益社団法人日本産婦人科学会「妊娠高血圧症候群
参照:富山大学学術研究部医学系産科婦人科教室「妊娠高血圧症候群について

軟産道強靭

軟産道強靭とは、軟産道と呼ばれる部位が固くなり、胎児の移動を妨げてしまう症状を指します。軟産道は産道の一部であり、子宮頸管や子宮口、膣などのことです。

胎児がスムーズに移動できないため、長時間の陣痛や分娩がなかなか進まないことで母体に負担がかかってしまいます。また、軟産道に胎児が圧迫されてしまい、胎児の頭部に産瘤ができる可能性があります。

軟産道強靭を予防するには、骨盤周りを広げることが重要です。ストレッチやマタニティヨガなどを行い、骨盤周りを鍛えておくとよいでしょう。分娩時に軟産道が固い場合は、子宮口を柔らかくする薬を用いたり、帝王切開を行ったりします。

アフターサービス流産や早産

高齢出産では、流産や早産などが起きるリスクが高まります。流産や早産の原因として考えられているのは、卵子と精子が受精する際なんらかの理由により染色体がうまく分離しないことです。高齢になると卵子が老化することも関係していると考えられます。

妊娠22週未満の出産は流産、妊娠22週0日から妊娠36週6日までは早産と区別されます。早産の場合、胎児の発育が未熟な状態での出産となるため、重篤な障害や症状が出現しないよう産後のケアが重要です。具体的には、呼吸障害や低血糖、重症感染症などが起こる可能性があります。

流産や早産を予防するには、生活習慣を見直しストレスを溜めないことが大切です。規則正しい生活や栄養バランスのよい食事を心がける他、禁煙なども行いましょう。また、切迫早産の原因のひとつでもある細菌感染を防ぐため、感染症予防や歯周病予防なども行いましょう。
参照:公益社団法人日本産婦人科学会「流産・切迫流産
参照:公益社団法人日本産婦人科学会「早産・切迫早産

ダウン症などの染色体異常

高齢出産ではダウン症などの染色体異常が起こる可能性も高くなります。染色体異常とは、通常は23対46本ある染色体の数や形がなんらかの理由により変化してしまうことです。なかでも、21番目の染色体に異常が起きることで発症する疾患をダウン症といいます。

ダウン症などの染色体異常が起きる確率は、高齢出産になるほど高くなります。たとえば、母体が20歳の場合1,667人に1人なのに対し、35歳では385人に1人、40歳では106人に1人です。

染色体異常が起きる原因は特定されておらず、遺伝によるケースは稀です。偶発的に発生する場合がほとんどのため、誰でも起こる可能性があると考えましょう。

参照:厚生労働省「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会

高齢出産のメリット

高齢出産の主なメリットは、以下のとおりです。

・経済的に余裕ができる
・精神面でゆとりをもてる
・子宮体がんのリスクが低下する

それぞれどのようなメリットなのか解説します。

経済的に余裕ができる

高齢出産の場合、経済的に余裕があり急な出費にも対応できることがメリットとして挙げられます。妊娠・出産にかかる検診費や分娩費などのさまざまな費用には、基本的に公的医療保険は適用されません。全額自己負担となるため、産院や出産方法など選択肢を広げたい場合には経済的に余裕があることが大切です。

仕事でのキャリアをある程度重ね、安定した収入を得て十分な蓄えがあると、費用面での心配を減らせます。これにより妊娠・出産に関するストレスを軽減できるでしょう。

精神面でゆとりをもてる

人生経験が長い分精神面でのゆとりをもてることも、高齢出産のメリットです。妊娠・出産では、精神的なストレスを感じやすくなります。妊娠中のストレスは母体の健康だけではなく胎児にも影響し、流産などのリスクを高めることにもつながってしまいかねません。

高齢出産であれば、これまでのご自身の経験や知識をもとに精神的なゆとりをもって妊娠・出産に備えられます。友人や姉妹などの身近な人がすでに妊娠・出産を経験していれば、経験談を聞いたり経験をもとにしたサポートを受けられたりもするでしょう。

子宮体がんのリスクが低下する

高齢出産の場合、子宮体がんのリスクが低下することもメリットとして挙げられます。また高齢出産によって、長寿になる傾向もあるといわれています。

高齢出産では、妊娠中や出産時に考えられる胎児への影響やリスクを回避するためのケアは必要です。その一方で、母体の健康によいこともあるとわかれば、精神的な負担が軽減されるでしょう。

参照:公益財団法人神奈川県予防医学協会「健康に100歳まで生きる─米国の長寿研究レポート─

NIPT(新型出生前診断)で生まれる子が発達障害かわかる?

NIPT(新型出生前診断)では、生まれる子どもが発達障害かはわかりません。NIPTで検査できるのは高齢出産でリスクが高まる染色体異常です。発達障害は根本的な原因が特定されておらず、染色体の状態を見ても発達障害の有無は判断できません。

NIPTでは、妊婦から採血した血液中の染色体の数や形の変化などをもとに、以下のような先天性の疾患がないかを検査できます。

・21トリソミー(ダウン症)
・18トリソミー
・13トリソミー

なお、NIPTは非確定的検査です。上記のような疾患の有無を確定するものではない点に注意しましょう。

参照:国立研究開発法人国立成育医療研究センター「NIPT

高齢出産だと発達障害以外にもさまざまなリスクがあることを把握しておこう

高齢出産は子どもが発達障害や染色体異常をもつ可能性がある他、母体の健康にもさまざまな影響を及ぼします。早産・流産などのリスクもあり、妊娠・出産では母子ともに丁寧なケアが必要です。

高齢出産には一定のメリットもありますが、リスクがある点も留意しておきましょう。
考えられるリスクを回避するためには、生活習慣の見直しやストレスを溜めない生活を心がけるなどの対策を行うことが大切です。

また、高齢出産で考えられるリスクを把握したうえで、染色体異常の有無を確かめるためにNIPTなどの検査も活用して出産を決めることが重要です。

平石クリニックではNIPTの受診をうけたまわっています。染色体異常のリスクが気になりNIPTを受けたい方は、平石クリニックへお問い合わせください。

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いつでも頼りになる医療を、さらに日々進化する医療を常に身近に、皆様にとって、なんでも相談出来るようなクリニックを目指しております。
高齢出産が増えている傾向にある日本で、流産のリスクを抑えた検査が出来るNIPTの重要性を高く考え、広く検査が知れ渡りみなさまに利用していただける事を目指しております。