胎動とは、妊娠中に赤ちゃんが子宮の中で動くことを指します。妊娠するといつから胎動を感じられるのか気になる妊婦さんは多いのではないでしょうか。
本記事では、胎動がいつから始まり、いつから感じられるのか、妊娠週数別の胎動の変化などを解説します。胎動について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
胎動はいつから始まる?
赤ちゃんが胎動を始めるのは妊娠8週頃からです。妊娠8週はヒトの形ができ始める時期です。この時期はまだ胎児が小さく、動きも小さいため、胎動が始まっていても妊婦さんが気づくことはありません。
妊娠8週頃は、エコー検査で胎児の頭部や胴体の区別がつくようになり、手足も見え始める時期です。エコー検査で頭や腰を動かしている様子が見られることもあります。
参照:日本産婦人科医会「6.正常所見8-10週」
胎動はいつから感じる?
胎動を感じ始める平均的な時期は、妊娠中期にあたる妊娠5〜6ヶ月頃です。妊娠週数でいえば妊娠16〜23週にあたり、妊婦さんのお腹も膨らみが目立ち始める時期です。
赤ちゃんの骨格や筋肉が発達し、活発に動き始めます。妊婦さんが胎動を感じるほどの強さで手足を動かせるようになります。
胎動として感じられる動きについては以下のとおりです。
- 手足の曲げ伸ばし(キッキング)
- 体の回旋と回転(ローリング)
- しゃっくり様運動
ただし、胎動の感じ方には個人差があり、妊娠4ヶ月頃から感じる人もいれば、妊娠7ヶ月頃から感じる人も少なくありません。胎動がなかなか感じられないと無事に成長しているのか不安になる人もいるでしょう。
胎動の感じ方はさまざまな要因によって変わります。妊婦健診やエコー検査などで元気に成長していることが確認できれば、心配する必要はありません。
胎動をいつ感じるかは個人差がある
胎動をいつ感じるかは個人差があります。続いて、以下2つの視点で胎動の感じ方を解説します。
- 胎動を感じやすい人と感じにくい人の違い
- 初産婦と経産婦の胎動の感じ方の違い
それぞれどのような違いがあるのか見てみましょう。
胎動を感じやすい人と感じにくい人の違い
胎動の感じやすさは、以下のさまざまな要因によって異なります。
- 妊婦さんの体型
- 羊水の量
- 胎盤の位置
- 妊婦さんの体勢や動き
たとえば、妊婦さんが痩せ型で皮下脂肪が少ない場合は胎動を感じやすい傾向があります。羊水が少なく赤ちゃんの手足が子宮壁へ当たりやすいケースも、胎動に気づきやすいでしょう。
また、赤ちゃんと子宮壁の間に胎盤があると衝撃が伝わらず、胎動を感じにくくなります。
胎動は、妊娠初期の頃だと赤ちゃんの力が弱いため、日中家事や仕事などで忙しくしている妊婦さんより気づくのが難しいでしょう。就寝前やテレビを見ているときなどリラックスしているときは感じやすい傾向があります。
Yahoo!知恵袋では「寝転がっているときは感じたけれど日中動いているときは感じない」という声も見受けられます。妊婦さんの過ごし方によって胎動の感じやすさは異なるといえるでしょう。
初産婦と経産婦の胎動の感じ方の違い
初産婦と経産婦では、妊娠・出産経験のある経産婦のほうが胎動を感じやすい傾向があります。経産婦は1人目の経験があるため、胎動の衝撃に気づきやすいのです。
ただし、感じ方は赤ちゃんの動く頻度や発達の程度などによっても異なります。そのため、1人目と2人目では胎動の感じ方に違いが出ることもあるでしょう。
いつ感じる?妊娠時期別の胎動の変化
胎動は妊娠週数によって変化します。続いて、以下の妊娠時期別の胎動の特徴を解説します。
- 妊娠初期(~13週6日)
- 妊娠中期(14~27週6日)
- 妊娠後期(28週~)
時期によってどのように胎動が変化するのかを見てみましょう。
妊娠初期(~13週6日)
妊娠初期はまだ赤ちゃんが小さく力も弱いため、胎動はあまり感じられません。子宮も小さく、胎動を感じる位置は主に恥骨からおへその下あたりまでです。
この時期の胎動は、「モニョモニョ」「うにょうにょ」と動いているような感覚を覚える人が多いようです。また「小さな魚がお腹の中をつついている」「腸の中を空気が動いているような、ポコポコとした感じ」と表現されることもあります。
妊娠中期(14週~27週6日)
妊娠中期には赤ちゃんが成長して動きが活発になり、胎動も感じやすくなります。妊娠中期になると子宮が大きくなり、羊水量が増加します。赤ちゃんが動けるスペースが大きくなり、手足を自由に動かせるため、胎動が活発化するのです。
妊娠初期に比べて赤ちゃんの力が強くなっているため、動いていてもお腹をポコポコ蹴るような胎動を感じられる妊婦さんが多くなります。皮下脂肪の薄い妊婦さんの場合、赤ちゃんの手足の形が皮膚越しにわかることもあります。赤ちゃんのしゃっくりを胎動として感じることもあるでしょう。
また、赤ちゃんの聴覚が発達し始めると、話しかける声に反応してお腹を蹴ってくることがあります。赤ちゃんが蹴った場所を軽く叩くと蹴り返してくれることもあるので、胎動を通してコミュニケーションをとってみましょう。
妊娠後期(28週~)
妊娠後期になると、子宮内の動けるスペースが狭くなるため、くるくると回るようなダイナミックな動きの胎動は減少します。動く場所が固定される分、手足の動きを感じやすく、ときには妊婦さんが痛みを感じるほどになるのが特徴です。
赤ちゃんの成長に伴って手足の力がさらに強くなるため、人によってはお腹を突き破るような胎動を感じたり就寝中に痛みで起きたりすることもあるでしょう。
胎動を確認する方法
胎動を確認するには、胎動カウントがおすすめです。胎動カウントでは、10回の胎動を感じるのにかかる時間を計測します。胎動カウントにはさまざまな方法がありますが、仰向けや横向きに寝転がるなどのリラックスした体勢で行うのがおすすめです。
体勢を整えてから胎動を数え始めて、40分以内に10回の胎動が感じられると赤ちゃんは元気に育っていると考えられます。もし10回数えるのに1時間以上かかった場合は、かかりつけ医に相談しましょう。
胎動に関するよくある質問
胎動に関するよくある質問は以下の3つです。
- Q.臨月になると胎動が減る?
- Q.胎動が激しいと男の子が生まれる?
- Q.胎動が激しい・少ないとダウン症の可能性がある?
胎動に関する正しい知識を身につけるために、ぜひ参考にしてください。
Q.臨月になると胎動が減る?
「臨月になると胎動が減る」と聞いたことがあるかもしれませんが、健康な赤ちゃんの胎動がなくなることはありません。
臨月になると、出産に向けて赤ちゃんの位置が固定されます。胎動を感じる位置が変化するため、妊婦さんの感じ方が変わることがあるのです。そのため臨月では赤ちゃんの動きそのものは減っていなくても、妊婦さんが胎動を以前ほど強く感じなくなる場合があります。
Q.胎動が激しいと男の子が生まれる?
胎動の程度と赤ちゃんの性別は関係ないとされています。「胎動が激しいと男の子」という説を聞いたことがあるかもしれませんが、医学的根拠はありません。
赤ちゃんの性別はエコー検査で外性器の形を調べることで判別できます。胎児の姿勢や手足の位置などによっては判断が難しいケースもありますが、早ければ妊娠12週頃から判別可能です。
また「胎動が少ない子は大人しい性格」との説もありますが、胎動と性格も関係ないといわれています。
Q.胎動が激しい・少ないとダウン症の可能性がある?
胎動とダウン症の関係性は医学的には証明されておらず、「胎動が激しいとダウン症の可能性がある」という説は根拠のない迷信です。
ダウン症の可能性を調べるには、出生前診断を受けたりエコー検査で形態異常を調べたりする必要があります。
胎動をいつ感じるかは個人差がある!焦らず赤ちゃんの成長を待とう
胎動の感じ方や気づく時期には個人差があります。なかなか感じられないと不安に思うかもしれませんが、妊婦健診やエコー検査などで赤ちゃんの成長が確認できれば心配する必要はありません。
胎動は妊娠週数が進むにつれて感じ方が変化します。声をかけたりお腹をさすったりすると赤ちゃんが反応してくれることもあるため、コミュニケーションをとってみましょう。
胎動の有無や強さなどから赤ちゃんの健康状態、とくにダウン症などの染色体異常を判断しようとする情報を耳にする機会があるかもしれません。しかし、胎動とダウン症の関係性に医学的な根拠はありません。もしダウン症の有無を早めに調べたいと思う場合は、NIPT(新型出生前診断)がおすすめです。
NIPTは胎児の染色体異常の可能性を調べる検査であり、妊娠10週目から受けられます。平石クリニックではNIPTに加え、妊娠6週目から受けられる早期NIPTも実施しています。ダウン症の有無を早めに調べたいと考えている方は、ぜひ平石クリニックへご相談ください。