2024.10.21 Mon

妊娠初期に感じられるお腹の張りの原因や対処法は?病院に行く目安も解説【医師監修】


妊娠初期はお腹の張りを感じやすい時期であり、問題ないのか不安に感じる方も少なくないのではないでしょうか。妊娠初期のお腹の張りは、母体や胎児への影響がないケースが多い傾向にあります。しかし、中には切迫早産や病気の兆候として注意しなければならないこともあります。

本記事では妊娠初期のお腹の張りの原因や対処法、病院へ行く目安などを解説します。妊娠初期のお腹の張りでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

妊娠初期のお腹の張りはどのような感じ方をする?

妊娠初期には腸内にガスが溜まって圧迫されているように感じたり、チクチクとした痛みを感じたりすることがあります。

圧迫されるような張りの場合、妊娠により子宮や内臓を動かす平滑筋の動きが抑制されることが関係しています。平滑筋は腸の運動機能に関わるものです。平滑筋の運動機能が低下すると、腸内に便が溜まり便秘になりやすくなります。これによりガスが溜まり、お腹が張るように感じます。

チクチクとした痛みは子宮の筋肉や靱帯などが伸び、引っ張られることで感じるものです。生理痛のような痛みで、妊娠初期に断続的に起こります。こうした痛みや張りは胎児の成長に合わせて妊娠中の全期間を通して感じるものですが、とくに妊娠初期に多い傾向があります。

妊娠初期のお腹の張りはいつからいつまでの時期に感じられる?

一般的に、妊娠初期のお腹の張りを感じるのは妊娠3週目ごろからです。妊娠初期は子宮が大きくなったり靱帯が伸びたりするため、痛みや張りを感じやすくなります。明確な痛みとして感じなくても、違和感を覚えることも少なくありません。

妊娠16〜27週にあたる妊娠中期になると安定期に入り、妊娠初期にあったお腹の張りを感じることも減っていきます。完全になくなるわけではありませんが、お腹の張りを感じてもしばらく安静にしていると落ち着くケースが多いでしょう。

お腹の張りや痛みが妊娠中期にも続いている場合は、なんらかの病気や切迫早産の兆候の可能性があります。この場合はすぐに医師に相談しましょう。

妊娠初期にお腹が張る原因と対処法

妊娠初期にお腹が張る原因には、主に以下の7つが挙げられます。

・子宮の収縮
・円靭帯痛
・便秘
・ストレスの蓄積
・子宮筋腫
・切迫早産
・病気

お腹の張りとともに出血がある場合は、流産や早産の可能性があるため一刻も早く病院で診てもらう必要があります。お腹が張る原因と対処法を把握し、冷静に対処できるよう備えましょう。

子宮の収縮

妊娠初期のお腹の張りの原因として、子宮の収縮が挙げられます。子宮は筋肉でできており、妊娠初期には筋肉が伸びて大きくなっていきます。筋肉は引き伸ばされると反射的に縮んで硬くなり、これを痛みやお腹の張りとして感じるのです。

妊娠初期以降も子宮の筋肉は胎児の成長にともなって大きくなり、これにあわせて一時的に痛みや張りを感じます。こうした痛みは安静にしていれば自然に収まるのが一般的で、出血や強い痛みがなければ大きな心配はありません。

子宮の収縮は、長く歩いたり家事をしたりなどの日常の動作がきっかけで起こることもあります。子宮の収縮による張りを予防したい場合、日常生活の中で子宮の収縮が起こりやすい動作がないかチェックするとよいでしょう。

参照:兵庫県立大学看護職向け子育て支援情報サイト「ケアや支援に関するQ&A

円靭帯痛

円靱帯痛は、子宮の外側にある円靱帯が引き伸ばされることで起こる痛みです。円靱帯は子宮が大きくなるにつれて引き伸ばされるだけではなく、胎児の胎動によっても引っ張られます。また、長時間の歩行や立ちっぱなしの姿勢を続けることで体に負担がかかり、円靱帯が引っ張られることもあります。

靱帯が引っ張られるためお腹が張ったように感じ、「チクチク」「ズキズキ」とした痛みが特徴です。

円靱帯痛が起きた場合も、しばらく安静にしていれば治まるようであれば問題ありません。ただし、痛みが治まらずだんだん強くなるようであれば、他の病気の可能性があるため医師に相談しましょう。

便秘

妊娠初期は便秘によるお腹の張りを感じることも少なくありません。

先述した通り、妊娠初期には平滑筋の動きが抑制され腸の運動機能が低下し、便通が悪くなります。また、大きくなった子宮が大腸を圧迫し、さらに便通が悪くなります。さらに、冷えも便秘の要因のひとつです。内臓が冷えることで腸の動きが鈍くなり、便秘になりやすくなります。

便秘になると腸内にガスが溜まってお腹が張りやすくなります。ガス溜まり解消のために、腸内環境を整えたりマタニティヨガをしたりしてガス抜きをしましょう。また、便通改善のために食物繊維が豊富な食材を積極的に食べたり、体を冷やさないようにしたりすることも大切です。

ストレスの蓄積

ストレスの蓄積がお腹の張りに影響することもあります。妊娠中はホルモンバランスが変化し、感情のコントロールが難しくなる傾向があります。妊娠前は気にならなかったことでも、イライラしてストレスを感じることもあるでしょう。

ストレスが溜まっていると自律神経が乱れ、体が緊張した状態が続きやすくなります。体が緊張状態になると子宮が収縮しやすくなり、お腹の張りを感じるケースも少なくありません。

ストレスによる自律神経の乱れやそれにともなう症状を防ぐには、無理をしないことが大切です。仕事や家事などでストレスが溜まっているなら、周囲の人に相談して休むようにしましょう。

子宮筋腫

妊娠中に子宮筋腫が大きくなることで、お腹が張るケースもあります。子宮筋腫とは子宮にできる良性の筋腫のことで、30歳以上の女性であれば20〜30%にみられるものです。悪性の腫瘍(がん)ではないため、無症状であれば治療は必要ありません。

ただし、妊娠中に子宮筋腫が大きくなると子宮の血流が悪くなり、強い痛みを引き起こすことがあります。また、流産や早産、筋腫の変性などが起こる可能性もあります。

妊娠中の場合は保存療法や経過観察が行われるのが一般的です。子宮筋腫は不妊の原因にもなるため、妊娠前に子宮筋腫を発見した場合は事前に治療を受けておきましょう。
参照:公益社団法人日本産婦人科学会「子宮筋腫
参照:公益社団法人日本婦人科腫瘍学会「子宮筋腫

切迫早産

切迫早産の兆候としてお腹の張りが起きるケースもあります。切迫早産は早産の一歩手前の状態です。子宮収縮が規則的に起こるため、お腹の張りや痛みを感じます。他にも、出血や破水がみられる場合もあるため、速やかに医師へ相談しましょう。

切迫早産が起きた場合は子宮収縮を抑え、子宮口が開かないように子宮収縮抑制薬を用いた治療が行われます。また、破水して羊水が流出している場合は胎児が細菌に感染しないよう抗菌薬を用いるのが一般的です。

切迫早産を予防するためには、定期的な妊婦健診をきちんと受け、無理をしない妊娠生活を心がけましょう。医師から安静にするよう指示が出た場合、周囲の人とも相談し無理をせずゆっくり休むことが大切です。

参照:公益社団法人日本産婦人科学会「早産・切迫早産

病気

なんらかの病気によってお腹の張りが起きているケースもあります。妊娠初期のお腹の張りは、大きな問題はないものがほとんどです。しかし、症状によっては子宮やその周辺でなんらかの異変が生じている可能性もあります。

たとえば、受精卵が子宮内膜ではなく卵管や卵巣などに着床してしまう「子宮外妊娠(異所性妊娠)」が挙げられます。妊娠が進行すると、卵管や卵巣が破裂し大量出血が発生しかねません。

また、子宮と卵巣をつないでいる部分が腫れてねじれる「卵巣のう腫茎捻転(らんそうのうしゅけいねんてん)」の可能性もあります。卵巣のう腫茎捻転が起きた場合、お腹の痛みが生じます。完全に捻れてしまうと卵巣へ血液が運ばれず壊死を起こし、激痛を生じることも少なくありません。

これらの病気が原因の場合、安静にしてもお腹の張りや痛みが治まらなかったり出血があったりします。これらの症状がみられる場合は、速やかに医師に相談しましょう。

参照:社会福祉法人恩賜財団済生会「異所性妊娠(子宮外妊娠)
参照:社会福祉法人恩賜財団済生会「卵巣のう腫茎捻転(らんそうのうしゅけいねんてん)

妊娠初期にお腹の張りがある場合の病院に行く目安

妊娠初期のお腹の張りは、安静にしていれば治まるようであれば問題ありません。しかし、以下の症状がみられる場合は注意しなければなりません。

・1時間程度休んでも張りや痛みが治まらない
・発熱がある
・出血している

とくに、張りや痛みが規則的に何度も起こる場合は切迫早産や切迫流産の可能性があります。発熱や出血が見られる場合はなんらかの病気が関係している可能性も考えられます。これらの症状があれば、速やかに病院を受診しましょう。

妊娠初期にお腹の張りがある場合は原因を見極めて適切な対処をしよう

妊娠初期は子宮の収縮や便秘などによってお腹の張りを感じやすくなります。こうしたお腹の張りは妊娠初期によくみられる症状であり、安静にしてすぐに治るようであれば基本的には問題ありません。

しかし、中には切迫早産や病気が原因でお腹が張っていることもあります。「問題ないお腹の張り」と「注意すべきお腹の張り」を見極め、適切に対処することが大切です。

妊娠初期はすべきことが多くあります。各種手続きを行うほか、妊婦さんの健康状態を確認するために検査が必要です。

また、妊娠10週以降になれば、胎児の染色体異常の有無を確認する「NIPT(新型出生前診断)」を受検できるようになります。出産へ備えるために、できるだけ早い段階での出生前診断を検討されている妊婦さんは、お気軽に平石クリニックへご相談ください。


運営者情報
NIPT平石クリニック


高齢出産が増えている傾向にある日本で、流産のリスクを抑えた検査が出来るNIPT(新型出生前診断)の重要性を高く考え、広く検査が知れ渡りみなさまに利用していただける事を目指しております。


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いつでも頼りになる医療を、さらに日々進化する医療を常に身近に、皆様にとって、なんでも相談出来るようなクリニックを目指しております。
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