葉酸が不足すると何が起きる?
葉酸は、赤血球やタンパク質の産生、細胞の増殖などに関わるビタミンです。
水溶性ビタミンであるビタミンB群に属し、光や熱に弱いことがわかっています。
葉酸は緑黄色野菜やレバー、牛乳、卵、藻類などに多く含まれています。
葉酸が不足すると貧血になったり、胎児の成長に影響が出る場合があります。
今までの研究から、妊娠中の葉酸の摂取不足によって胎児の神経管閉鎖障害の発症率が上がることがわかっています。
神経管閉鎖障害とは、妊娠の4-5週頃に脳や脊髄の元となる神経管に異常が起きる先天性疾患です。
神経管閉鎖障害には、二分脊椎や無脳症が含まれます。
二分脊椎では、足の麻痺や感覚障害などの症状が出ることが多く、何度も手術が必要になる場合もあります。
無脳症は、名前の通り脳の形成に異常が起きるので子宮内で亡くなることや、生まれてきても短い期間で亡くなることが多いです。
葉酸を摂取したい期間は?
妊娠中に葉酸の摂取量が不足していると神経管閉鎖障害を発症するリスクが上がることがわかっています。
アメリカやヨーロッパなどでは神経管閉鎖障害の発症率が高く、研究結果で妊婦の葉酸不足が原因のひとつだとわかってから、小麦粉やパン、シリアル、パスタなどに葉酸が添加されるようになりました。
その後の報告で、葉酸を添加したことにより胎児の神経管閉鎖障害の発症率が低下したことが明らかになっています。
日本も、諸外国の研究結果を考慮し、2000年から厚生労働省が妊娠を計画している女性、または妊娠の可能性がある女性に対し葉酸を積極的にとるように推奨しています。
妊娠1か月前から妊娠3か月までの間に400µgの葉酸を摂取すると、胎児の神経管閉鎖障害の発症予防になるといわれています。
そのため、葉酸を特に摂取すべき時期は妊娠1か月前から妊娠3か月です。
しかし、妊娠初期だけではなく、出産までの妊娠期間中は胎児の成長のために十分な葉酸をとったほうがよいと考えられています。
また、授乳中も通常より葉酸を多めにとったほうがよいといわれています。
つまり、葉酸をいつもより多めに摂取すべき時期は妊娠前1か月から母乳を赤ちゃんに与えなくなるまでです。
葉酸を食事から摂取するには?
日本における成人女性と男性の葉酸の推奨摂取量は240µgですが、一般的な食事を摂っていれば満たす量といわれています。
ただ、女性が妊娠や授乳をしている時には通常より多い量の葉酸が必要です。
具体的には、妊娠中は通常の倍量である480µg、授乳中は340µgです。
葉酸は緑黄色野菜や卵、納豆、レバー、藻類などに多く含まれています。
具体的には、ホウレン草2株(60g)で126µg、グリーンアスパラガス3本(60g)で114µg、春菊3本(60g)で114µg、アボカド1個で168µg、納豆中 1パック(50g)で60µg、イチゴ 中5粒(75g)で60µg 、鶏レバー50gで650µgの葉酸が含まれています。
レバーには葉酸が多く含まれていますが、胎児に形態異常を起こす可能性のあるビタミンAも多く含んでいるので食べすぎには注意が必要です。
葉酸は熱に弱いので、加熱調理時間が長いと失われてしまいます。
また、オレンジジュースやバナナは葉酸の吸収を阻害する酵素を含むので同時に摂取しない方がよいです。
葉酸のサプリメントはとるべき?
基本的に、体にとって必要な栄養素を摂取するためにはバランスの良い食事を1日3食とることが大切です。
しかし、毎食バランスの良い食事をするのが難しいこともありますし、妊娠や授乳をしている時期などにはいつもより多くの栄養素を必要とすることもあります。
そのような時に役立つのがサプリメントなどの栄養補助食品です。
葉酸に関しては、食材に含まれているのはポリグルタミン酸型でサプリメントに含まれるモノグルタミン酸型よりも吸収率が低いことがわかっています。
妊娠中や授乳中に、食事から十分量の葉酸を摂取するためには、より多い量の食材を食べなくてはいけません。
厚生労働省も、妊娠を計画している女性、または妊娠の可能性がある女性はサプリメントに含まれるモノグルタミン酸型の葉酸を1日400µg摂取するように推奨しています。
妊婦さんの葉酸の摂取不足は、胎児の二分脊椎や無脳症の発症リスクを上げるだけでなく、早産や子宮内胎児発育遅延のリスクも上げることがわかっています。
葉酸のサプリメントを上手に利用して、妊娠中や授乳中に十分な量の葉酸を摂取するようにしましょう。
まとめ
葉酸をいつもより多くとるべき期間は、妊娠1か月前から母乳を与えなくなる頃までです。
特に、妊娠1か月前から妊娠3か月までに十分な葉酸をとることは胎児の神経管閉鎖障害の予防になるといわれています。
通常の成人男性や女性に推奨されている葉酸の摂取量は1日240µgですが、妊娠中は480µg、授乳中は340µgです。
食材に含まれているポリグルタミン酸型の葉酸は、サプリメントなどに含まれているモノグルタミン酸型の葉酸よりも吸収率が低いことがわかっているので、十分な葉酸を摂取するために葉酸のサプリメントをうまく利用するとよいでしょう。
妊娠を計画している女性、または妊娠の可能性がある女性がサプリメントでとるべき葉酸の量は、1日400µgです。
参考
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-002.html
大切な命と安心な出産のために
当院では、ご希望される妊婦様、ご家族様がNIPT検査内容を理解して受けられる環境をご提供します。
新型出生前診断・NIPTは、お母さまの血液から胎児の3種類の染色体異常を調べることができる、スクリーニング検査です。
運営者情報
NIPT平石クリニック
高齢出産が増えている傾向にある日本で、流産のリスクを抑えた検査が出来るNIPT(新型出生前診断)の重要性を高く考え、広く検査が知れ渡りみなさまに利用していただける事を目指しております。