2019.11.15 Fri

妊娠には葉酸が「常識」?!妊娠との関係や効果を解説!

妊娠の時に摂るべき葉酸とは?

葉酸は、ビタミンB群に属する水溶性ビタミンで緑黄色野菜や肉類、卵黄、牛乳、豆類などに多く含まれます。
水溶性ビタミンなので葉酸は水に溶けやすく、光や熱に弱いことがわかっています。
葉酸は体内で、赤血球の産生、細胞の産生や再生、たんぱく質の合成の促進などに関わる重要な物質です。
ビタミンB12と共に、赤血球の産生に関わるので葉酸は「造血のビタミン」とよばれることもあります。

特に胎児にとって、葉酸は重要な栄養素だといわれています。
なぜかというと、葉酸が関わる細胞の分裂や成熟が胎児の時にはさかんに行われるからです。
胎児の発育に大きく関わると考えられている葉酸は、妊娠前から意識してとることが大切だと考えられています。

最近では、葉酸による動脈硬化予防効果、心疾患や脳卒中の予防効果なども期待され、研究が行われています。

妊娠中に葉酸が必要な理由とは?

妊娠にまだ気づいていない時期でも、胎児は日々成長しています。
特に妊娠初期は、胎児の臓器の基盤ができる時期です。
妊娠4-5週頃には、脳や脊髄などの中枢神経の基盤である神経管が作られます。
神経管は最終的に閉じる必要がありますが、何らかの原因により神経管が閉じないと二分脊椎や無脳症といった先天的な体の形態異常が起きます。
二分脊椎では、手足の麻痺や体の感覚の異常が出ることがあり、重症度にもよりますが繰り返し手術が必要になる場合もあります。
無脳症では、脳がうまく形成されず、早産や死産の発症率が上昇します。
神経管閉鎖障害の原因として、葉酸不足、糖尿病、抗てんかん薬などの内服歴などが挙げられます。
神経管閉鎖障害は、妊娠4週間前から妊娠12週まで1日400µgの葉酸サプリメントを内服すると、発生するリスクが減ることがわかっています。
日本においては、葉酸サプリメント摂取による神経管閉鎖障害のリスクは、約28%減ると推定されています。
つまり 、妊娠を希望している女性は早めから葉酸をとるようにした方がよいということです。

また、妊娠中も胎児の成長のために葉酸を継続してとった方がよいといわれています。
実際に、葉酸を摂取していると早産や子宮内胎児発育遅延が起きるリスクが減ったという研究結果もあります。

妊娠中に葉酸が足りないとどうなる?

妊娠中に十分な葉酸を摂取していないと、胎児に二分脊椎や無脳症などの神経管閉鎖障害が起きる確率が上がることがわかっています。

神経管の上の部分が閉じない場合には、脳の形成がうまくいかずに無脳症になります。
無脳症は、流産や早産を起こす可能性が高くなることがわかっています。
一方で、神経管の下の部分が閉じない場合には二分脊椎といって、手足に麻痺や感覚障害などが起きます。
二分脊椎の場合には、神経障害の程度によって重症度も変わります。

日本では、生まれてきた赤ちゃんの1万人に約6人の割合で神経管閉鎖障害が起きることがわかっています。
アメリカでは、神経管閉鎖障害を予防するために1998年から小麦粉、パスタ、シリアルなどに葉酸を添加することが義務付けられています
カナダでも小麦粉に葉酸が添加されています。
このように国をあげて葉酸の摂取量を増やすための対策をしたアメリカなどの諸外国では、神経管閉鎖障害の発症率が低下しました。
日本でも厚生労働省が、葉酸の摂取量を増やすだけでなく、サプリメントによる葉酸の摂取を推奨しています。
2002年からは母子手帳に葉酸に関する記述がされるようになりました。
しかし、日本において妊娠前から葉酸が必要なことを知っている女性は多いとは言えず、90%以上の妊婦において葉酸の摂取が不十分であったという報告もあります。

[clink url=”http://www.nipt-clinic.jp/column/folic-acid-lack/”]

妊娠中の葉酸はどうやってとればいい?

葉酸は、野菜や肉類、卵、豆類などに多く含まれます。
極端な偏食などがなければ、日本人における通常の食生活で葉酸が不足することは稀だといわれています。
しかし、妊娠中は胎児の成長のために通常より多い量の葉酸が必要になります。
意識して葉酸が多く含まれる食品をとれば、葉酸不足にはならないと考えるかもしれません。
しかし、実際に食品から体内に吸収できる葉酸の量は、摂取量の約半分です。
また、葉酸は水に溶けやすく、熱に弱いため調理時間が長いほど、失われてしまいます。
そのため厚生労働省も、妊娠中に必要とされる葉酸を摂取するために、サプリメントの併用を推奨しています。
サプリメントでは、1日400µgの葉酸をとるとよいといわれています。
[clink url=”http://www.nipt-clinic.jp/column/folate-food/”]

葉酸の必要性について

妊娠にまだ気づいていないような時期である妊娠4-5週頃にも、脳や脊髄の基盤となる神経管が作られます。
神経管は最終的に閉じる必要がありますが、妊婦の葉酸不足や糖尿病、抗てんかん薬の内服などによって、正常に閉じないため二分脊椎や無脳症などの神経管閉鎖障害を起こすことがあります。
妊娠中は、胎児の成長のために通常の倍量の葉酸が必要だといわれています。
しかし、葉酸は食品中からだと約半分しか吸収されないので、妊娠を希望する女性や妊娠中の女性はサプリメントで400µgの葉酸を追加で摂取することが推奨されています。

参考文献
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-002.html
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4738404/
https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1212/h1228-1_18.html#zu4

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