2019.12.06 Fri

【妊娠時期別】妊婦を悩ます不眠の原因と対処法


日本人の5人に1人は不眠に悩まされていることがわかっています。
一方で、妊婦に関してはほとんどの方が不眠を経験するといわれています。
妊娠に伴う不眠の原因には、ホルモンバランスの変化やストレス、妊娠による体の変化などさまざまなものが挙げられます。
また、妊娠の時期によって不眠の原因は異なります。
不眠による胎児への影響や妊娠中の睡眠薬の内服に関して、不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
今回は、妊婦を悩ます不眠の原因や対処法などについてわかりやすくまとめます。

妊娠初期に眠れない原因は?

妊娠初期は4週から15週目までのことを指します。
妊娠初期は、つわりや妊娠によるホルモンバランスの変化で体調が優れない方が多いです。
一般的に、妊娠初期にはホルモンバランスの変化で眠くなる方が多いといわれていますが、眠れなくなる方もいます。
妊娠初期に眠れなくなる主な原因は以下のようなものです。

妊娠によるホルモンバランスの変化

女性は生涯を通して、生理、妊娠、出産、更年期などホルモンバランスが大きく変化します。
女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があり、妊娠初期には妊娠を維持するためにプロゲステロンの分泌量が増えます。
プロゲステロンは体温を上げる作用があるだけでなく、動悸やほてり、いらいら、むくみなどの症状を引き起こすことがあります。
眠るためには深部体温が下がるとよいといわれており、プロゲステロンによって体温が上がった状態だと眠りづらくなります

妊娠によるストレス

妊娠中は、妊娠による体調の変化や出産に対する不安などでストレスを感じる女性も多いです。
ストレスは自律神経のひとつである交感神経を緊張させ、眠りづらくさせることがわかっています

妊娠中期に眠れない原因は?

妊娠中期は、妊娠16週から27週目までのことで子宮が徐々に大きくなり、妊娠していることがわかるような体形へと変化する時期です。
妊娠中期に眠れない原因としては、以下のようなものが考えられます。

妊娠中の頻尿

妊娠中は、母体の血流量が増え、尿が排出されやすくなります。
また、大きくなる子宮によって膀胱が圧迫されるため、尿意を感じることが多くなります。
頻尿で、夜間に頻繫にトイレのために起きると眠りが浅くなってしまいます。
妊娠中に頻尿になるのはよくあることですが、寝る前には水分を控えめにするとよいかもしれません。
妊娠中は、子宮が大きくなるにつれて膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路に関連する病気を発症しやすいといわれています。
膀胱炎では頻尿の症状が出ますが、他にも残尿感、排尿時痛、排尿時違和感、血尿などの症状を伴います。
もし頻尿以外の症状がある場合には早めに医療機関を受診しましょう。

妊娠による腰痛

出産のときに赤ちゃんが母親の骨盤を通りやすくするために、妊娠するとリラキシンというホルモンの分泌が増えます。
リラキシンには、骨盤の関節や靭帯を緩めるはたらきがあるので、靭帯の代わりに筋肉が硬くなって関節を支えようとするので腰痛が起きると考えられています。
また、お腹が大きくなると体の重心が変わり、腰を反らすような姿勢になることが多く、腰の周りの筋肉への負担が増すので腰痛が起こりやすくなるといわれています。
腰痛による痛みで、なかなか眠れなくなることがあります。

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妊娠後期に眠れない原因は?

妊娠後期とは妊娠28週から40週までをさします。
出産が近くなり、さらにお腹が大きくなり、胎動も感じます。
妊娠後期になると体の動きも制限されやすく、疲れやすさを感じる方が多いです。
妊娠後期に眠れない原因は、妊娠初期や中期に比べるとさまざまなものが考えられます。
代表的なものは以下のような原因です。

こむら返り

妊娠中は、急に足がつるようなこむら返りがよく起こるようになります。
原因としては、血行不良やミネラル不足が考えられます。
妊娠中は、胎児へ栄養がとられるので特にカルシウムが不足しがちになります。
カルシウムやマグネシウムには、筋肉の動きをコントロールするはたらきがあるので、不足すると筋肉の収縮に影響が出てこむら返りの原因になります。

乳製品や魚、ナッツ等、カルシウムとマグネシウムを多く含む食品を意識して摂取するといいでしょう。

動悸

妊娠中に分泌されるプロゲステロンは、ほてりや動悸を引き起こすことがあります。
また、妊娠中は貧血になりやすく、貧血によって動悸が起きる場合があります。
妊娠後期には血液量が増すので、心臓への負担が増えて動悸という症状になることもあります

お腹が苦しい

お腹が大きくなってくると、あおむけで寝ることも苦しくなり不眠の原因になります。
あおむけではなく、左側を下にして体を横向きに寝るとよいです
膝は曲げて、膝の下にクッションや抱き枕などを置くとより楽になることがあります。

むずむず脚症候群

むずむず脚症候群では、ふくらはぎなど足にびりびりする、虫が這うような感じがする、痛い、焼ける、などの異常感覚が引き起こされます。
寝ている時や安静にしている時などに誘発されることがあり、足を動かすと楽になります。
妊娠中は、約15%の妊婦がむずむず脚症候群を経験するといわれていますが、出産後には改善します。
むずむず脚症候群による不快感で不眠になる方がいます。
原因として、鉄分の不足も挙げられているので鉄分を意識して多くとるようにするとよいかもしれません。

眠れないときの対策方法は?

妊娠中に眠れない時には、まず毎日の生活習慣や寝る前の環境を見直してみるとよいです。
今日からでもできる対策方法をいくつか紹介するので試してみてください。

寝る1時間前にお風呂に入る

人間は深部体温が下がる時に眠くなるといわれています。
そのため、寝る1時間前にお風呂に入っておくと、寝る頃には深部体温が下がるので眠くなります。
お風呂の温度は37-39度くらいが理想で、熱すぎるお風呂はかえって目が覚めてしまいます。

軽い運動

適度な運動をすると、よく眠れることがわかっています。
妊娠の経過が順調で、切迫症状などがなく安静が必要でなければ、日中にヨガやウォーキングなどの軽い運動をすると眠れるようになることがあります。
心配な方は、妊婦健診で医師に運動をしてよいか聞いてみてください。
マタニティヨガや妊婦を対象にした運動プログラムなどが医療機関や公共施設などで提供されていることもあるので活用してみるのもいいでしょう。

リラックス

入浴や落ち着いた音楽、アロマ、ハーブティーなどで寝る前に気持ちをリラックスさせることもよいでしょう。
何か心配なことがあって考えすぎたり、寝る前に気持ちが高ぶったりすると眠れなくなってしまいます。
自分に合った方法で気持ちを落ち着かせてリラックスすることが大切です。

ツボを刺激する

眠れないときに刺激するとよいツボには、「失眠(しつみん)」と「湧泉(ゆうせん)」があります。
失眠は、足の裏側にあるツボでかかとの中央に位置します。
不眠の改善や下半身の冷えに効くといわれています。
湧泉は、足の指を内側に曲げた時にできるくぼみの中央にあるツボです。
安眠や疲労回復の効果を期待できるといわれています。
ツボを刺激する時には、両手の親指を重ねて、やや強いくらいの力で5秒間押し、指を離します。
5回くらい繰り返すようにしてみてください。

寝る前にスマホを見ない

寝る直前までスマートフォンやパソコンを見ていないでしょうか。
夜遅くまでスマートフォンやパソコンを見ていると、LEDディスプレイから発せられるブルーライトが脳を刺激し、なかなか眠れなくなったり、眠りが浅くなったりします。
寝る2時間前はスマホを見ない、寝る場所から手の届かない所に置く、などの対策をしましょう

部屋の照明を落とす

21時以降は間接照明にするなどの対策をして、部屋を暗めにするのもよいでしょう。

どうしても眠れないときは睡眠薬を飲んでも大丈夫?

生活習慣や寝る環境を改善しても眠れない時には、睡眠薬を飲むこともできます
妊娠中は、胎児への影響がある成分が含まれている薬は避けなくてはいけません。
妊娠中に内服できる睡眠薬としては、薬物依存性や呼吸抑制が比較的弱いベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系が挙げられます。
ベンゾジアゼピン系では、ハルシオンやデパス、レンドルミン、ロヒプノールなどの使用頻度が高いです。
非ベンゾジアゼピン系では、マイスリーやアモバンが処方されることがあります。
今回挙げた睡眠薬は、胎児への影響はほとんどないとは言われていますが、他の薬と同様に妊娠中は必要最小限の量を短期間だけ内服するという考え方が基本です。
眠れなくて悩んでいる時には睡眠薬を内服するかどうかも含めて、必ず医療機関で相談するようにしてください。

睡眠不足の胎児への影響は?

妊婦の睡眠不足や生体リズムの乱れが胎児へ影響するかどうかは、まだはっきりしていません。
動物実験では、1日中明るい環境で過ごしたマウスやサルから生まれた子供は成長が遅れたり、ストレスが大きくなったりすることがわかっています。
ヒトでも、妊娠中に夜勤や時差ぼけなどを経験して生体リズムが乱れやすい職種である看護師や客室乗務員では早産や流産の頻度が高く、子どもの体重減少なども認めるという報告があります

妊娠中は多くの方が睡眠不足を経験するといわれていますが、胎児は順調に育っていくことがほとんどです。
眠れないことで強いストレスを感じる方がよくないと考えられます。
ただ、先述した報告を考慮すると、日中はなるべく日光を浴びて体に負担のないような運動をして、夜は暗い部屋で横になって寝るように心がけて生体リズムは乱れないようにした方がよいかもしれません。

眠れないときは焦らずリラックスしましょう

眠ろうとしてもなかなか眠れないと焦ってしまい、それがストレスになってさらに眠れなくなることがあります。
暗い部屋で目を閉じているだけで、脳も体も休むことができるので、焦らずリラックスするようにしましょう。

参考文献
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-005.html
https://www.fuyukilc.or.jp/column/妊娠と不眠/
https://www.iritani.jp/clinic_blog/column/「寝る前スマホ」は要注意/
https://ananweb.jp/news/189731/

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高齢出産が増えている傾向にある日本で、流産のリスクを抑えた検査が出来るNIPT(新型出生前診断)の重要性を高く考え、広く検査が知れ渡りみなさまに利用していただける事を目指しております。


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