NIPTと羊水検査の検査方法の違いとは?
NIPTは最近日本に導入された新しい検査方法で、母体血胎児染色体検査、新型出生前診断などと呼ばれることがあります。妊娠初期の早い時期に検査することができ、他の非確定的検査に比べて検査の精度が高いことが特徴です。NIPTは採血のみで検査できるので短時間で済むだけでなく、妊婦であるお母さんの体への負担が少ない検査です。
羊水検査は、胎児が先天性染色体疾患を持つかどうか診断する確定的検査のひとつです。羊水の量は妊娠経過と共に増えていくので、検査のために十分な羊水量が存在すると考えられている妊娠15-18週頃に受けることができます。羊水検査では、妊婦さんのお腹に細い針を刺さなくてはいけないので、流産や早産、死産、出血などのリスクがあります。
NIPTと羊水検査の精度の違いとは?
NIPTは、超音波検査や母体血清マーカー検査などと同様に非確定的検査に分類されます。非確定的検査とは、胎児が先天性疾患を持つリスクが高いか低いかを判定する検査のことです。確定的検査では、リスクではなく疾患が実際にあるかどうか判定できます。羊水検査は確定的検査に含まれます。
NIPTは非確定的検査の中で最も感度が高く、21トリソミー(ダウン症候群)に対しては99%程度です。母体血清マーカー検査では、21トリソミー(ダウン症候群)に対する感度が81%程度なので、NIPTの感度がとても高いことがわかります。NIPTにおける感度とは、胎児が染色体疾患を持つ場合に「陽性」と正しく判定する割合のことです。NIPTは、感度が高い検査なので見落としの少ない検査です。また、NIPTは検査結果が陰性であった場合に、実際に胎児が染色体疾患を持たない確率も高く、99.9%以上です。つまり、NIPTで「陰性」と診断された場合の信頼度が高いということです。
羊水検査は確定的検査で、感度と陰性的中率はほぼ100%とされています。
NIPTと羊水検査の対象となる疾患の違いとは?
NIPTでは、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトー症候群)、性染色体の異常によって起きるターナー症候群やクラインフェルター症候群、染色体の微小欠失などを調べることができます。羊水検査では、染色体を目で見て確かめることができるので染色体疾患全般が対象になります。ただし、羊水検査でも、目で見ても確認できないくらいの小さな染色体の異常による疾患は診断できないこともあります。
NIPTと羊水検査のリスクの違いとは?
NIPTは、お母さんの採血のみで行える検査なので流産のリスクはありません。一方で、羊水検査ではお母さんのお腹から子宮に向かって細い針を刺して羊水を採取するので流産のリスクが1/300程度あります。羊水検査では、流産以外にも早産、死産、出血、感染、腸管損傷などのリスクがあります。
NIPTと羊水検査の検査時期の違いとは?
NIPTは、妊娠の早い時期に検査できることが大きな特徴で、妊娠10週以降には検査をすることができます。羊水検査は、検査できるくらい十分な量の羊水が存在すると考えられている妊娠15-18週頃に受けることができます。
検査結果が返ってくるまでの時間は、医療機関によって多少の違いはあるもののNIPTでは1-2週間程度、羊水検査では3-4週間程度といわれています。
NIPTと羊水検査の検査結果の解釈の違いとは?
NIPTは、非確定的検査なので胎児が染色体疾患を持つリスクが高いか低いかを判定します。もし、検査結果が「陽性」であった場合には胎児が染色体疾患を持つリスクが高いということになりますが、診断の確定を希望する場合には羊水検査や絨毛検査という確定的検査が必要になります。NIPTでは、実際には染色体疾患が「ない」のに、検査で「陽性」としてしまう偽陽性が少ないといわれているので、無駄な追加の検査を少なくすることができると考えられています。また、NIPTで「陰性」と判定されたときの的中率は99.9%以上と高いことがわかっているので、「陰性」の結果が返ってきた時には安心できるといわれています。ただし、100%ではないので非常に稀ではありますが偽陰性の可能性もあります。
羊水検査は、確定的検査なので検査結果が「陽性」であった場合には赤ちゃんが染色体疾患を持つことが確定します。羊水検査で「陰性」であった場合にも、検査結果の信頼度はとても高いです。ただし、検査で確認できないほどの小さな染色体の異常があった場合には、検査で「陰性」であったものの実際に生まれてきたときに染色体疾患を持っていることもあります。
NIPTも羊水検査も、染色体の数や構造の異常による染色体疾患は調べることができますが、先天性心疾患や先天性消化器疾患、口唇口蓋裂などの全ての先天性疾患の有無がわかるわけではないことを理解しておいてください。
まとめ
NIPTは非確定的検査の中で、他の検査に比べて精度がとても高いので信頼できる検査といえます。また、NIPTは妊娠早期に、流産リスクのない採血のみで検査できることが大きな特徴です。羊水検査は、確定的検査なので検査の精度が高いものの、お母さんのお腹に針を刺さなくてはいけないので流産や早産などのリスクがあります。NIPTと羊水検査は、染色体疾患を検査対象としているので、心臓や消化管などに異常がある先天性疾患の診断はできないことを理解しておく必要があります。
大切な命と安心な出産のために
当院では、ご希望される妊婦様、ご家族様がNIPT検査内容を理解して受けられる環境をご提供します。
新型出生前診断・NIPTは、お母さまの血液から胎児の3種類の染色体異常を調べることができる、スクリーニング検査です。
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