「食べづわりはどんな感じの症状?」「食べづわりによる妊娠太りを防ぐには?」などの疑問をお持ちではありませんか?
妊娠中の女性の約50〜80%がつわりを経験しますが、なかでも「食べづわり」はとくに症状がつらいとされています。空腹時に吐き気や気持ち悪さを感じるため、常に食べ物を口にしてしまう妊婦さんも多いのではないでしょうか。
食べることで症状が軽減する一方で、食べ過ぎによるストレスや太り過ぎによる赤ちゃんへの影響も心配です。
この記事では、食べづわりの原因と対策方法を詳しく解説します。また、食べづわりによる妊娠太りを防ぐ方法や、食べても気分が悪いときの対処法もお伝えしていきます。自身に適した対策を見つけて、食べづわりを乗り切りましょう。
また、NIPT(新型出世前診断)に関心のある方は、こちらの記事で詳しく説明しているのでぜひご覧ください。
食べづわり(食べ悪阻)とは
食べづわりは妊娠初期に見られるつわり症状の一種で、空腹時に強い吐き気を感じることが特徴です。食べることで吐き気や不快感が和らぐため、常に食べ物を口にしていないと落ち着かない妊婦さんも少なくありません。
また、食べづわりの症状がある場合は食べる量や頻度が増えて、結果的に体重が増加する傾向があります。
赤ちゃんの成長に伴った、妊娠中の体重増加は一般的な現象です。ただし、15kg以上の過度な体重増加は、出産に次のような悪影響を及ぼすことが考えられます。
- 妊娠高血圧症候群
- 妊娠糖尿病
- 難産
妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病は、赤ちゃんに影響を及ぼす可能性がある病気です。また、体重が増えると巨大児となる可能性が高まる他、産道に脂肪が付くことで難産につながる可能性があります。
そのため、食べづわりの症状が見られるときは、太り過ぎを防止するための対策が必要です。
参照:杏林大学医学部付属病院「病院・診療科について 女性と妊娠と体重と」
参照:国立成育医療研究センター「妊娠高血圧症候群(Hypertensive Disorders of Pregnancy: HDP)」
参照:順天堂大学医学部付属静岡病院「こうのとりくらぶ」
参照:山梨大学:「日本人女性における妊娠中の体重増加量と低出生体重児、巨大児のリスク」
食べづわりの症状
食べづわりの症状は、主に空腹時の強い吐き気や不快感です。食べづわりの症状は、食べ物を摂取することで一時的に軽減されます。
ただし、症状が和らぐ食事の量には個人差があり、一度にたくさん食べ過ぎると悪化する妊婦さんもいます。吐き気を抑えるために食事の量や頻度が増えると、体重が急速に増加する可能性も少なくありません。
体重の増加をストレスに感じ、さらに症状が悪化する悪循環に陥ることもあります。
参照:URくらしのカレッジ「つわりのピークはいつからいつまで?症状のタイプや対処方法」
【なぜ?】食べづわりの原因
食べづわりや吐きづわりなど、つわり全般の原因は完全には解明されていません。ただし2024年5月現在、食べづわりなどのつわり症状は以下のことが原因だと考えられています。
- ホルモンバランスの変化
- 自律神経の乱れ
- 血糖値の低下
- ストレスの影響
- 遺伝的要素
妊娠初期はホルモンバランスの変化により、つわりが起きると考えられます。なかでも、分泌量が増加する「hCG」は、嘔吐中枢を刺激し吐き気を引き起こすことが特徴です。
さらに、妊娠中は体や心の変化からストレスを感じることが多いため、交感神経が優位に働きやすい状態です。自律神経を整える過程で副交感神経が優位になると、食欲が刺激されて食べづわりの症状を引き起こす可能性があります。
また、つわりの程度によっては遺伝が関係する可能性があり、家族のつわり症状が重い場合は自身も重くなることが考えられます。
つわりの種類で、赤ちゃんの性別がわかるという話がありますが、原因が解明されていない以上、判断できるとは言い切れません。
参照:東北メディカル・メガバンク機構「三世代コホート調査をもとにした「日本人を対象としたつわりの遺伝的背景」に関する論文が掲載」
食べづわりはいつからいつまで続く?
食べづわりは、妊娠5〜6週に始まり、一般的には12〜16週まで続くとされています。
つわりの原因と考えられるhCGホルモンは、妊娠5〜6週から急激に分泌量が増加することが特徴です。しかし、妊娠15週以降で減少してホルモンの影響が少なくなるため、症状が軽くなると考えられます。
妊娠22週までには約90%の妊婦さんがつわりから解放されるといわれているため、自身に適した方法で乗り切りましょう。
ただし、つわりが落ち着く時期には個人差があり、妊娠後期まで続く場合もあります。妊娠後期まで続く場合は、つわりではなく他の病気が原因である可能性も考えられます。
食べづわりの症状が重いときや妊娠後期まで続く場合は、医師に相談しましょう。
参照:兵庫県立大学「自分に合ったつわり軽減方法がきっとある!」
食べづわりの対策方法
食べづわりの対策方法は、以下の3つです。
- こまめに食事をとる
- 睡眠を十分に確保する
- ゆったりとした服を着る
こまめに食事をとる
食べづわりを軽減するには、少ない量をこまめに食べるとよいでしょう。
食べづわりは食事によって症状が和らぐ特性がありますが、一度に大量に食べると症状が逆に悪化する可能性があります。
また、一度に食べる量を減らすことで過度な体重増加も防ぐことができるでしょう。クラッカーや果物を持ち歩き、気分が悪いときにすぐに食べられるようにしておくのもおすすめです。
食べるものは、なるべく消化によいものを選びましょう。脂っこいものや刺激の強いものは消化に悪く、症状を悪化させる可能性があります。
また、食事だけでなくこまめな水分補給も大切です。水分が不足すると、食べづわりの吐き気を悪化させる要因となる場合があります。
睡眠を十分に確保する
十分な睡眠は体と心をリラックスさせ、食べづわりの症状を和らげる可能性があります。
妊娠中は、つわりやストレスの影響により、妊婦さんの約8割が不安定な睡眠になるといわれています。食べづわりなどのつわり症状は、ストレスや自律神経の乱れにより悪化するため、リラックスできる時間を確保することが大切です。
十分な睡眠はストレスを解消する他、自律神経を調整する役割があるため、食べづわりの軽減に役立つでしょう。夜間に空腹感による吐き気を感じる場合は、就寝前にスープやおにぎりなどの軽食を摂ることをおすすめします。
また、質のよい睡眠をとるためには過度な不安を抱えず、気分のよいときには散歩などで気分転換をすることが有効です。
参照:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
ゆったりとした服を着る
食べづわりがあるときは、体を締めつけないタイプのゆったりとした服を選びましょう。体を締めつける服だと腹部の圧迫につながり、胃の不快感を引き起こす可能性があります。
また、締めつける服は血流を悪化させる可能性があります。つわりは血流が改善することで軽減できることがあるため、下着などで体を締めつけないように注意しましょう。
さらに、マタニティウェアを活用し楽な服装で過ごすことも大切です。肌触りのよい素材を選ぶことで、肌に触れるときのストレスも軽減できます。
食べづわりによる妊娠太りを防ぐ方法
食べづわりによる妊娠太りを防ぐために、以下のような方法を試しましょう。
- 食事を小分けにして頻繁に食べる
- すぐ食べられるものを用意しておく
- カロリーの少ない食品を選ぶ
- よく噛んで食べる
- 飴をなめる
バランスのよい食事を少量ずつ頻繁に摂ることで、体重の大幅な増加を防げます。
たとえば、一日の食事回数を3回から6回に増やして、1回の量を従来の半分程度に抑えます。総摂取カロリーは変わらないため、妊娠太りを防ぐことが可能です。また、食事は食物繊維を多く含む食品を摂り、高カロリーの食事は避けるようにしましょう。
夜中に食べづわりの症状が出た場合でも、すぐに食べられるものを用意しておくことで、症状を速やかに抑えることが可能です。
太るからといって食べないでいると、ストレスにより食べづわりの症状が悪化することがあります。太りにくい食品を選び、自身に合った方法で妊娠太りを防ぎましょう。
食べづわりでおすすめの食べ物
食べづわりの症状があるときに適した食べ物は、症状により異なります。まず、食欲があるときは次のような食べ物を選ぶのがおすすめです。
- ゆで卵
- おにぎり
- 野菜スティック
- フルーツ
- ナッツ類
つわりの症状を和らげるには、ビタミンB6の摂取が有効とされています。フルーツを食べる場合は、ビタミンB6が豊富に含まれるバナナやキウイがおすすめです。
また、野菜スティックなど低カロリーな食べ物も取り入れて、太らないような工夫をしましょう。
食欲がないときや食べたくないと感じるときは、以下のようなものがおすすめです。
- スープ
- ヨーグルト
- 生姜湯
- ゼリー
- キャンディー
とくに、生姜はつわりによる吐き気を軽減できるといわれています。小さじ1杯ほどのすりおろした生姜を、お湯などに溶かして飲むとよいでしょう。
参照:兵庫県立大学「自分に合ったつわり軽減方法がきっとある!」
食べづわりのときに食べても気持ち悪い場合の対処法
食べづわりで食べても吐き気や気持ち悪さが続く場合は、以下のような対処法を試しましょう。
- 横になって休息をとる
- 他のことに集中する
安静にすることで、食べづわり症状が緩和されることがあります。横になるのがつらいときは、クッションなどで体を起こし、楽な体勢で休むとよいでしょう。
家族に背中をさすってもらうことで安心感が得られ、症状が緩和することもあります。
また、趣味や映画鑑賞など、好きなことに集中すると、吐き気を緩和できる可能性があります。他のことに意識を向けることで、食べづわりから一時的に気を逸らすことが可能です。
参照:北海道医療センター「つらい吐き気と嘔吐・・・自宅でできる対策は?」
対策方法を押さえて食べづわりを乗り切ろう
食べづわりは、空腹時に強い吐き気を感じ、食べものを摂取することで症状が緩和されます。食事の量や頻度が増えることで、妊娠太りを心配される妊婦さんも少なくないでしょう。
しかし、つわりは自然の現象です。体重増加を気にして食事を制限すると、逆にストレスが増え、症状が悪化する可能性があります。
過度な体重増加は避けるべきですが、まずは自身に合った対策を無理なく実践することが大切です。妊娠中は体重の増加よりも、妊婦さん自身と赤ちゃんの健康を優先することが重要なためです。
無理をせず、自身に適した対策方法を見つけ、食べづわりを乗り越えましょう。