2019.09.02 Mon

採血するだけの簡単検査クアトロテスト(母体血清マーカー検査)とは?


クアトロテストは、出生前診断のうち採血で調べることのできる「母体血清マーカー検査」のひとつです。出生前診断と聞くと、赤ちゃんの異常を全て把握できると思っている方もいますが、実際には特定の一部の先天性異常の有無がわかるだけです。また、出生前診断で赤ちゃんの異常がわかったとしても治療ができないことがほとんどです。一方で、出生前診断で赤ちゃんが生まれてくる前にどのような先天性異常があるかどうかがわかっていれば、出産後すぐに対応できるような病院で赤ちゃんを生むように計画することも可能です。

クアトロテスト(母体血清マーカー検査)は、母体の血液中に含まれる成分であるAFP、非抱合型E3、hCG、インヒビンAという4種類の成分を測定して、胎児に特定の先天性異常がある確率を計算する検査です。インヒビンA以外の3種類を測定する検査はトリプルマーカーテストとよばれ、クアトロテストと同様に母体血清マーカー検査のひとつとして知られています。クアトロテストの結果で異常がある確率が高い場合には、診断を確定するための染色体検査や詳細な画像診断の必要性を検討できます

クアトロテストの対象となる先天性異常は?

クアトロテストでは、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、開放性神経管欠損症の3つの先天性異常が対象となっています。それぞれの疾患の説明は以下のようになります。

21トリソミー(ダウン症候群)

ヒトの染色体は通常2本で1組になっていますが、21トリソミー(ダウン症候群)では、21番染色体が3本になっています。染色体の数が通常より1本増えることによって、心臓や消化管などの合併症や知的発達の遅れなどが起きることがあります。合併症や発達の程度は人ぞれぞれで、就業することや特定の能力を発揮することも可能です。平均的な寿命は50-60歳ですが、もっと長生きされている方もいます。

18トリソミー(エドワーズ症候群)

18番染色体が3本になることで発症する先天性異常を18トリソミー(エドワーズ症候群)といいます。男児よりも女児にやや多いということがわかっており、女児:男児の発生比率は4:1といわれています。複数の合併症を伴うことが多いです。寿命は一般的に短く、1年生きることのできる子どもは約10%ともいわれています。

開放性神経管欠損症

開放性神経管欠損症では、お腹にいる時に赤ちゃんの神経管が正常に作られないので、脳や脊髄(せきずい)に異常が起きます。開放性神経管欠損症の中には、無脳症や二分脊椎(にぶんせきつい)のような病気が含まれます。無脳症は、頭蓋骨がうまく作られないため脳が正常に発達しない病気です。二分脊椎では、背骨がうまく作られないので、本来背骨の中にあるべき神経が外に出てしまいます。開放性神経管欠損症の赤ちゃんは、生まれた後も合併症の治療が必要になることが多いです。

クアトロテスト(母体血清マーカー検査)の方法と検査時期は?

クアトロテストは、お母さんの腕から採血をして検査をすることができます。クアトロテストの検査に適した時期は、妊娠15週0日から妊娠21週6日までとされています。ただし、クアトロテストの検査結果を見て、確定診断のための染色体検査を実施する可能性があるので妊娠16週頃までに受けた方がよいかもしれません。クアトロテストの検査時期は担当医とよく相談するようにしてください。

クアトロテストのリスクと注意点は?

クアトロテスト(母体血清マーカー検査)は採血だけで検査ができるので、流産リスクや感染リスクはありません
クアトロテストでは先天性異常がある確率がわかるだけで、有無を確定することはできません。つまり、先天性異常が本当にあるかどうか確認するためには絨毛検査や羊水検査といった確定的検査が必要になります。 また、クアトロテストで検査結果が陰性だった場合でも、他の染色体異常がある可能性もありますし100%赤ちゃんに先天性異常がないとはいえません。そして、クアトロテストでは母体の年齢を考慮して先天性異常の確率を計算するので、母体の年齢が上昇するほど検査結果が陽性になる可能性が高くなります

クアトロテスト(母体血清マーカー検査)の結果の見方は?

血液中の4つの成分と母体の年齢、妊娠週数、体重、日本人の基準値、家族歴などの因子から、赤ちゃんが特定の先天性異常である確率が計算されます。クアトロテストで対象となっているダウン症候群、エドワーズ症候群、開放性神経管欠損症の基準となる確率(カットオフ値)が決められているので、カットオフ値より高い場合には陽性、低い場合には陰性という結果が返ってきます。クアトロテストで陽性だった場合には、赤ちゃんに特定の先天性異常がある確率が高いということがわかりますが、必ずその先天性異常を持って生まれてくるということは意味していません

まとめ

クアトロテスト(母体血清マーカー検査)では、母体の血液中の4つの成分を測定し、母体の年齢、妊娠週数、日本人の基準値などから、生まれてくる赤ちゃんに特定の先天性異常がある確率が計算されます。確率が高い場合には陽性と判断されますが、本当に先天的性異常があるかどうかは絨毛検査や羊水検査といった確定的検査を追加で行う必要があります。クアトロテストでは、母体の年齢を考慮して検査結果が出るので、母体が高齢になると検査結果も陽性になる確率が上がるので結果の解釈に注意が必要です。

大切な命と安心な出産のために

当院では、ご希望される妊婦様、ご家族様がNIPT検査内容を理解して受けられる環境をご提供します。
新型出生前診断・NIPTは、お母さまの血液から胎児の3種類の染色体異常を調べることができる、スクリーニング検査です。

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NIPT平石クリニック


高齢出産が増えている傾向にある日本で、流産のリスクを抑えた検査が出来るNIPT(新型出生前診断)の重要性を高く考え、広く検査が知れ渡りみなさまに利用していただける事を目指しております。


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いつでも頼りになる医療を、さらに日々進化する医療を常に身近に、皆様にとって、なんでも相談出来るようなクリニックを目指しております。
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