出生前診断の検査方法である「クアトロテスト」は、妊婦さんに採血を行うだけで実施でき、胎児へのリスクが少ないのが特徴です。その反面、検査結果の見方や精度については注意したいポイントがあるため、ほかの検査方法と比較したうえで検討しましょう。
ここでは、クアトロテストの特徴や具体的な検査方法などをご紹介します。妊婦さんやご家族一人ひとりの考え方に合った検査方法を選択するために、参考にしてみてください。
クアトロテストの基礎知識
出生前診断の検査方法のひとつである「クアトロテスト」の基礎知識をお伝えします。クアトロテストの特徴や、検査で調べられる対象疾患について押さえておきましょう。
そもそも出生前診断とは
クアトロテストをはじめとした出生前診断とは、胎児に特定の先天異常がないか調べる検査のことです。それぞれの検査方法は、「非確定検査」と「確定検査」の2種類に分類されます。非確定検査にあたるのは、コンバインド検査・母体血清マーカー検査(トリプルマーカー、クアトロテスト)・新型出生前診断(NIPT)などです。確定検査には絨毛検査や羊水検査などが挙げられます。非確定検査の役割は先天異常の可能性を判定すること、確定検査の役割は先天異常の診断をすることです。一般的には、初めにリスクの少ない非確定検査を行い、陽性の判定が出た場合に確定検査の受検が推奨されています。
クアトロテストの特徴
クアトロテストは、母体血清マーカー検査の一種です。「クアトロ検査」と呼ばれることもあります。4種類の成分を調べる検査がクアトロテスト、3種類の成分を調べる検査がトリプルマーカーです。いずれも妊婦さんに採血を行って母体血を調べる検査方法で、胎児に先天異常がある確率を調べる目的があります。クアトロテストはいわゆるスクリーニング検査に分類されるため、胎児の先天異常の検査結果を確定できません。検査結果を確定するためには、前述の絨毛検査や羊水検査など確定検査の受検が必要です。クアトロテストで陽性の判定が出たら、妊婦さんやご家族の要望にしたがい、確定検査へ進む場合があります。
クアトロテストの対象疾患
クアトロテストでは3つの疾患が対象となっています。ひとつは、21番目の染色体が3本ある「21トリソミー(ダウン症候群)」。18番目の染色体が3本ある「18トリソミー(エドワード症候群)」。そして、胎児の脳や脊髄に異常が見られる「開放性神経管奇形(開放性二分脊椎・無脳症)」です。双胎妊娠の場合は、必要なデータが少ない関係で18トリソミーの検査ができません。また、クアトロテストの結果に異常がなかったとしても、赤ちゃんが生まれてから対象疾患と異なる先天異常が見つかる可能性を考慮する必要があります。
クアトロテストを受けられる時期と検査方法
クアトロテストを受けられるのは妊娠15週0日からです。検査では妊婦さんから採取した血液に含まれる4種類の成分を測定します。検査を受ける前にご確認ください。
検査を受けられる時期
クアトロテストの検査を受けられる時期は、妊娠15週0日~21週6日までです。一方で、受検が推奨されているのは妊娠17週ごろまでとなります。その理由は、非確定検査で陽性の判定が出た場合、その後に確定検査を受ける可能性があるためです。クアトロテストの検査結果が出るまでには10日程度の時間がかかります。羊水検査を受検できるのは妊娠15~18週であり、検査結果が出るまでには4週間程度の時間がかかります。さらに妊婦さんやご家族には、確定検査の結果を受け入れ将来について考えるための時間が必要です。このような流れを考慮し、クアトロテストはできるだけ余裕をもっての受検をおすすめします。
クアトロテストの検査方法
クアトロテストでは、妊婦さんから採血した血液中に含まれる、4種類の成分を測定します。対象となる成分は「AFP」「hCG」「uE3」「Inhibin A」です。4種類の成分の値のほか、妊婦さんの年齢・体重・妊娠週数に加え、日本人の基準値などの因子を用いて胎児が対象疾患である確率を算出します。妊婦さんへの採血のみで検査を実施できるため、流産や死産のリスクが少ないのが特徴です。一方で、検査で胎児の対象疾患を検出する感度は「21トリソミー(ダウン症候群)」の場合で80%程度となっており、それほど高くありません。あくまで異常の疑いを見つけるスクリーニング検査として認識する必要があります。
クアトロテストの検査結果の出方とNIPTとの比較
クアトロテストの検査結果では、対象疾患をもつ確率を調べられます。同じ出生前診断の非確定検査であるNIPTと比較しながら、注意点をご紹介します。
クアトロテストの検査結果の出方
クアトロテストでは、各対象疾患に基準となる確率(カットオフ値)が設けられている場合があります。検査結果の判定が出るときは、妊婦さんの確率がカットオフ値より高いとスクリーニング陽性となり、カットオフ値より低いとスクリーニング陰性となるのが特徴です。
NIPTとの比較
クアトロテストと比較すると、NIPTのほうがより検査の精度が高いといえます。NIPTの21トリソミーの感度は99%以上であり、ほかの検査方法と比べて感度が高く、かつクアトロテストと同様に血液の採取のみで実施できます。検査を実施するうえで胎児へのリスクがほとんどありません。出生前診断の非確定検査を選ぶうえで検査の精度を重視する方は、NIPTの受検を検討してはいかがでしょうか。
NIPTについて詳しくは下記の記事をご参考ください。
NIPTとは?受ける前に知っておきたい検査のメリットと注意点 |
出生前診断では納得できる検査方法を選びましょう
クアトロテストは、出生前診断の検査方法のなかでは非確定検査にあたります。採血のみで実施でき、母体や胎児へのリスクがほとんどありませんが、検査結果の見方や検査精度に関してはやや注意が必要です。クアトロテストと同様に採血のみで実施できる非確定検査として、新型出生前診断(NIPT)が挙げられます。NIPTは検査精度の高さが特徴で、確定検査を受ける前の選択肢として、受検を選択する妊婦さんやご家族もいらっしゃいます。
NIPTの受検を検討されるなら、平石クリニックまでお気軽にお問い合わせください。当院では、受検者さまに年齢制限を設けておらず、夫婦で同伴していただく必要もございません。認定遺伝カウンセラーへの無料電話相談ができる窓口を設置しているため、事前にご予約のうえでご利用ください。検査結果は最短6日間でお伝えします。NIPTで陽性の判定が出て確定検査を希望される受検者さまには、確定検査の費用を当院が全額負担いたします。
出生前診断では、一般的に非確定検査で陽性の判定が出たら、確定検査をご検討いただく流れとなります。非確定検査には選択肢があり、それぞれの検査にメリットとデメリットがあるため、妊婦さんやご家族が納得できる方法をお選びください。
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NIPT平石クリニック
高齢出産が増えている傾向にある日本で、流産のリスクを抑えた検査が出来るNIPT(新型出生前診断)の重要性を高く考え、広く検査が知れ渡りみなさまに利用していただける事を目指しております。