妊婦様からのご相談
「陽性的中率」とは何ですか?
99.9%ではないのですか?
また「人によって陽性的中率が異なる」と耳にしましたが、よく分かりません。
ご相談をお受けして
陽性的中率とは?
「陽性的中率」とは、NIPT(新型出生前検査)にて陽性だった場合、実際の胎児にも該当の染色体異常がある確率のことです。
つまり、陽性という結果がどの程度当たっているかを表した割合です。
NIPTの「陽性的中率」は99.9%ではありません。
では何%かと言いますと「母体年齢」や「検査項目」によって変動するため、一律で何%と表すことはできません。
99.9%の的中率じゃないの?
なお、99.9%の的中率とよく耳にするかと思いますが、それはNIPTで陰性だった場合のお話です。
つまり、NIPTの「陰性的中率」が99.9%なのです。(妊娠10週以降のNIPTにおいて。なお、検査項目や母体年齢によって変動しません。)
このあたりのご理解に注意が必要です。
▸NIPTの「陰性的中率」は99.9%だが、「陽性的中率」は個々で異なる。
母体年齢が異なると、陽性的中率はどう変わる?
具体的に見ていきましょう。
①母体年齢による違い
仮に、21トリソミー(ダウン症候群)の項目で陽性判定だったお二人がいらっしゃるとします。
・母体年齢30歳の場合……陽性的中率61.3%
・母体年齢40歳の場合……陽性的中率93.7%
というように、母体年齢によって陽性的中率が大きく異なります。
母体年齢が高いほど、陽性的中率も高く出る傾向にあります。
②検査項目による違い
続いて、母体年齢が共に35歳のお二人が陽性判定だったとします。
・21トリソミー(ダウン症候群)にて陽性だった方……陽性的中率80.0%
・13トリソミー(パトー症候群)にて陽性だった方……陽性的中率10.5%
というように、陽性的中率は検査項目によってもかなりの差があることが分かります。
陽性的中率の傾向と注意点
陽性的中率は、低い順から
・13,18,21以外のトリソミー
・13トリソミー(パトー症候群)
・18トリソミー(エドワーズ症候群)
・21トリソミー(ダウン症候群)
と知られています。
つまり、13,18,21以外の番号にてトリソミー陽性判定だった場合、「偽陽性(誤った陽性判定)」の可能性が高いと考えられます。
したがって、
▸妊娠継続を希望される場合には経過観察
▸妊娠中断を検討される場合には、確定診断である「羊水検査(または絨毛検査)」の受検
が推奨されます。
また、13,18,21トリソミーにおいても「偽陽性」の可能性が十分にあることも忘れてはなりません。
NIPTの陽性判定だけで妊娠を諦める必要はないのです。
微小欠失検査で陽性だった場合は?
「微小欠失※」の陽性的中率は約30〜60%といわれています。
母体年齢によって変動するものではありません。
しかし、微小欠失自体が稀なケースであることから、はっきりとした統計データは出揃っていないのが現状です。
※ 染色体の数の変異である「トリソミー」に対し、染色体の構造の変異が「微小欠失」。
自分の「陽性的中率」はどこを見たらわかるの?
検査結果を表示した用紙(または画面)に記載されています。
「PPV(Positive Predictive Value)」が「陽性的中率」を意味します。
陽性の項目があった場合のみ、その的中率が記されます。
ご相談をふりかえり
陽性的中率が何%であれ、NIPTにおける陽性判定は可能性に過ぎません。
赤ちゃんに染色体異常がある、と決定されたわけではないのです。
(前述の通り、妊娠10週以降の陰性的中率は年齢、検査項目問わず99.99%ですので、陰性判定の場合はご安心いただけるでしょう。)
確定診断を受けるべきかどうか、検査結果をどう捉えたらいいのか等、認定遺伝カウンセラーとの無料電話相談をご活用ください。
妊婦様のお考えを軸に、一緒にこれからのことを考えましょう。
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