妊婦様からのご相談
妊娠11週目でNIPTを受けた結果、陽性の項目がありました。
羊水検査は妊娠17週目からと聞きました。
1ヶ月以上も先なので、毎日モヤモヤと時間が長く感じます。
ご相談をお受けして
はじめに
安心したくて受けたにも関わらず、まさかの結果に気が動転していらっしゃることでしょう。
お気持ちお察しいたします。
とはいえ、NIPTの陽性結果は可能性に過ぎません。
ご存じの通り、「羊水検査」にて『赤ちゃんの確かな情報を確認する必要性』があります。
そして、必ずしも羊水検査を受けられる17週目まで待つしかないのかというと、そうでもありません。
「羊水検査を受ける判断基準」や、「羊水検査を受けるまでにできること」について今回お話いたします。
まずは日程を抑えておく
羊水検査を受検する / しないはさておき、まずはできる限りお早めに羊水検査の「受検施設を決めておくこと」、「予約枠を抑えておくこと」が大切です。
いざ受検したいと思った際に、施設探しや予約に苦労される妊婦様が少なくありません。
また、検査から結果が出るまでに3週間程かかります。
万が一諦める場合には、妊娠21週6日がタイムリミットです。
逆算していくと、意外にも時間は無いことを実感いただけると思います。
▶︎スケジュールの把握には「出生前検査カレンダー」が便利です。⇒コチラから無料でダウンロード可能です。
妊婦検診はあなどれない
「羊水検査」を受けられる日までただ待つべきか、どのように判断したらよいのでしょうか。
その判断基準は通常の妊婦検診にあります。
妊婦検診における超音波検査にて何らかの所見がある場合、無い場合を含め、3つの選択肢をご案内します。
①超音波検査にて所見がなければ羊水検査まで待つ
胎児が重い症状を持って生まれる場合、実は「通常超音波検査※1」でも兆候が見られることがあります。
※1通常の妊婦検診にておこなわれる超音波検査。
ですので、まずは妊婦検診における超音波検査を注視するとよいでしょう。
特別な所見がなければそのまま「羊水検査」まで待つことが推奨されます。
NIPTは母体血を介した検査のため、「偽陽性※2」が少なくありません。
※2実際には染色体異常が無いのに陽性と出てしまう状態。
発生頻度の低い疾患であればあるほど、偽陽性の確率が高いものです。
羊水検査にて、確かな結果を経て今後を考えられることをお勧めします。
②超音波検査にて所見があれば絨毛検査を受検する
妊婦検診にて何らかの所見があれば、より一層ご不安が募ることでしょう。
何も手に付かないほどご不安が強いようでしたら、少しでも早く確定診断を得られるほうが良いと思われます。
比較的早く受けられる確定検査に「絨毛検査(じゅうもうけんさ)」があります。
検査の位置付けは羊水検査と同じ※3ですが、妊娠11週頃から受検可能という点が大きな違いです。
※3絨毛検査での「陰性」は、「赤ちゃんに該当の染色体位異常は無かった」という最終診断結果であることを意味します。
ただし、絨毛検査には3点、注意事項があります。
①受検できる施設(クリニック)が多くありません。
②手技を要するため、経験豊富な施設や医師を選択することが大切です。
③胎盤にだけ染色体異常が表れる「胎盤性モザイク」の場合には、羊水検査を受け直す必要性があります。
しかし、ごく稀なことです。
注意点はありますが、羊水検査より1ヶ月以上も前に受検できるメリットは大きいのではないでしょうか。
(いずれの検査も結果が出るまでに約2〜4週間かかります。検査施設によって変動あり。)
③超音波検査にて形態異常があれば胎児ドックを受検する
妊婦検診における超音波検査にてはっきりと形態異常が見られた場合には、「胎児ドック(=胎児超音波検査)※4」を受けるという選択肢もあります。
※4 精密な超音波検査のこと。胎児の体の構造や、成長に関する異常の確認を目的とする出生前検査。
妊娠初期〜妊娠後期まで受検することが可能です。
検査の時期によって確認できる項目が異なります。
▶︎胎児ドックでわかること
胎児の情報が幅広くわかります。
「内臓の形態」や「機能の異常」に関しては確定診断できることもあります。
▶︎胎児ドックではわからないこと
染色体異常の有無は、胎児ドックでは診断できません。
ですが、『この染色体異常があるとこういった所見が表れやすい』といった「外見からの傾向」を捉えることができます。
母体にも胎児にも安全な検査ですので、安心して受検いただけます。※5
※5羊水検査や絨毛検査も危険なわけではありません。詳しくはこちらをご覧ください。
ご相談をふりかえり
赤ちゃんを大切に思えば思うほど心配は募るものです。
NIPTの結果が陽性でしたらなおさらでしょう。
NIPTで陽性だった場合の羊水検査の必要性は、ここ数年で随分知られるようになってきました。
しかし、羊水検査がおこなわれるまで待つ妊婦様の心境は、ご本人にしかわからない辛さなのではと感じます。
「羊水検査」と同じ位置付けである確実な染色体検査をご希望の場合には「絨毛検査」がよいでしょう。
また、赤ちゃんの様子を外見から細かく検査してもらえる「胎児ドック」を選択されるのもよいと思います。
なかには、「胎児ドック」と「羊水検査」の両方を受検される方もいらっしゃいます。
今できることを選択し、ひとつでも安心材料を得られたほうが穏やかな日々を過ごせるのではないかと思います。
よろしければ、認定遺伝カウンセラーとの無料電話相談もご利用ください。
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