微小欠失を羊水検査で見つけたい 〜NIPTを受けずに羊水検査は可能?〜

相談

妊婦様からのご相談

染色体のトリソミーだけでなく、微小欠失まで検査しておきたいと思っています。
初めから確実な結果を知りたいので、NIPTを受けず羊水検査で微小欠失まで調べることは可能ですか?

ご相談をお受けして

羊水検査で全てがわかるわけではない?

NIPTを受けず、初めから羊水検査を受けること自体は可能です。NIPTも羊水検査も、全てご本人の自由意志だからです。

ただし認定遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーはその方法をお勧めしていません。それはなぜでしょうか。
理由は以下の2点です。

①羊水検査には、ごくわずかながらリスクもあるため。
羊水検査は用途や範囲を絞った検査であり、広く検査できるものではないため。

①はよく聞かれることですが、現代の日本で特に心配する必要はありません。インターネット上には、既に古くなってしまった海外の情報や偏った捉え方も数多く見られます。国内で羊水検査の実績が一定数あれば、特に気にしなくて良いでしょう。

ご相談者様は基本のトリソミー検査だけでなく微小欠失検査もご希望ですので、ここでは関連深い②について解説いたします。

羊水検査は狙い撃ちの検査

前述の通り、羊水検査は用途や範囲を絞った検査です。言い換えると、目的に応じておこなう精密検査だということです。

健康診断に置き換えてみましょう。
例えば健康診断では、全身をくまなく検査するため様々な検査項目が用意されています。私たちは結果に陽性項目があった場合に初めて、焦点を絞った精密検査へと進みます。
もし初めから身体の各部位ごとに精密検査をおこなっていくと、時間も費用も膨大にかかってしまうことでしょう。

NIPTや羊水検査においても同じことがいえます。
まずはNIPTにて広く疾患の可能性を探し出し、陽性項目があった場合に初めて、そこに的を絞った羊水検査をおこないます

羊水検査にも色々

羊水検査と一括りに言えどその手法は様々あり、目的に応じて使い分けられています

例えば、21トリソミー(ダウン症候群)は染色体の数の変異ですから、NIPTで陽性だった場合、羊水検査においても染色体の数を調べます。
なお21番染色体の数だけでなく、全ての染色体の数についての確認がなされます。
※1~22番までの「常染色体」22組+性別を決める「性染色体」1組=計23組。
その際、染色体に大きな形の変異があれば明らかになることもありますが、「微小欠失」が明らかになることはありません
つまり、数の検査をしている時には形の細かな変化までは見ていないということです。

逆のことも言えます。
例えば、NIPTの微小欠失検査において22番染色体が陽性だったとしましょう。
羊水検査に進んだ際には特殊な機械を用い、22番染色体に的を絞り細部まで調べられます。
このとき他の染色体は見ておらず、全体の数も数えていません。すなわちトリソミー(通常2本の染色体が3本の状態)を見つけることはできないのです。

「羊水検査」と一括りに言えど、検査目的に応じて検査の手法も性質も大きく変わるということです。

最善の選択とは?

以上を踏まえ、最善の選択とは何でしょうか。
NIPTの結果どの染色体にどのような不安要素があり、精密検査をすべきか、それを知ることが遠回りのようで最短ルートです。
二度手間を避けるため、初めから確実な羊水検査を受けたいというお考えは理解できますし、そう判断される方もいらっしゃいます。

しかし、初めから羊水検査でやみくもに微小欠失を探すのは、世界地図からごく小さな都市を見つけ出すようなものです。
一方で、国や地方を指定された上で探すのであれば、小さな都市でも探し出せる可能性が高まるでしょう。
NIPTを経て羊水検査に進むことが最善なのは、ある程度調べるべきポイントを特定するためでもあるのです。

またNIPTにおいて微小欠失の項目が陰性であれば、羊水検査を受ける必要さえありません。
そしてNIPTにおいて陽性だった場合には、平石クリニックの保障制度をご利用いただけます。つまり、羊水検査の費用をかけずに羊水検査がおこなえるということです。

※対象者は平石クリニックにてNIPTを受検された方です。羊水検査費用を立て替えていただき、追ってその費用を弊院が全額負担させていただきます。

まとめ

一般的に、初めから羊水検査を選択されることはお勧めされていません。
そもそも羊水検査を受ける必要性があるのか否か、あるならどの検査項目か──これらをNIPTにて確かめることがご相談者様、また多くの妊婦様にとっての最適解だと考えられます。
ただしご事情は個々に異なり、正解は人それぞれなのかもしれません。納得された上で初めから羊水検査を選択をされることがあっても良いと思います。
大切なのは、正しい情報のもと妊婦様とパートナー様が「自分たちで決断した」と思えることではないでしょうか。

ご心配な点がありましたら認定遺伝カウンセラーまでお問合せください。ご納得できる選択を一緒に考えていきましょう。

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