妊婦様からのご相談
妊娠14週目でNIPTを受けた結果、7トリソミー陽性でした。インターネットで調べたところ、稀に出生例があるらしく「ウィリアムズ症候群」と書いてありました。
母から直ぐにでも妊娠中断に踏み切ったほうが良いのではと言われており、羊水検査をどうしようか悩んでいます。
ご相談をお受けして
はじめに
NIPTの陽性判定を受け取られ、ご相談者様もお母様も動揺されていることと思います。
ひとつずつご説明いたします。
トリソミー?ウィリアムズ症候群?
7トリソミーを検索する中でウィリアムズ症候群に辿り着いたとのことですが、実は「7トリソミー」と「ウィリアムズ症候群」は全くの別物です。
確かにどちらも7番染色体にまつわる疾患です。
しかし「7トリソミー」は染色体の本数に、「ウィリアムズ症候群」は染色体の形に変異があることで起こる全く別の疾患です。
NIPTにおいて、染色体の本数はトリソミー検査、染色体の形は微小欠失検査によって判定します。
ご相談者様が受けられた微小欠失検査のプランはどちらの項目も兼ねており、「トリソミー検査」では7番染色体が陽性、ウィリアムズ症候群も含まれる「微小欠失検査」では陰性の結果でした。
つまり、ご相談者様の赤ちゃんが「ウィリアムズ症候群」である可能性は既に否定されているということです。
またインターネット検索で上位に表示される「7qトリソミー(7番染色体長腕トリソミー)」も7トリソミーとは全くの別物で、構造異常によって起こる疾患です。
インターネット上を探しても7トリソミーの情報が全く出てこない理由は、元気に社会生活を送っていらっしゃる7トリソミーの方※は世界的に見ても例がないためです。
※出生されている方は完全な7トリソミーではなく、正常な7番染色体と7トリソミーが混ざったモザイクであると考えられます。
偽陽性の可能性
赤ちゃんが7トリソミーだった場合、出生にいたる可能性はごくわずかです。なかでも、妊娠初期(妊娠7~8週)に寿命が尽きてしまうケースが大半です。
では、ご相談者様のように妊娠14週まで赤ちゃんが元気に育っている場合はどうでしょうか。このような場合、実際にはトリソミーではない、つまりNIPTの結果が偽陽性(間違った陽性判定)である可能性が高い※
と考えられます。
※NIPTは疾患の可能性を判定するスクリーニングであるという性質上、偽陽性が起こりうる検査です。それはどのクリニックや検査機関であっても同様です。
偽陽性か本当の陽性かは「羊水検査」によって明らかにすることが可能です。
羊水検査を受けるか否か
羊水検査は任意の検査ですので、受けるか否かは妊婦様の意思に委ねられています。
妊娠の中断も視野にある場合には羊水検査をお勧めしますが、個々にご事情もあるかと思います。
なお、羊水検査は妊娠15〜16週目まで受けられないため、それまでの大事な情報源は妊婦健診です。
エコーにて医師から何の指摘もなく順調に成長している場合には、NIPTの陽性判定が間違っている可能性が高いと考えられます。
さらに妊娠16〜17週目になるころには、エコーを通して赤ちゃんの形の変化も見えてきます。
NIPTの陽性判定だけで慌てて妊娠中断に踏み切る必要はなく、エコーにて経過観察しながらじっくりと考えて良いのです。
羊水検査で7トリソミーが否定された場合どう理解すれば良いのか?
羊水検査の結果、7トリソミーではないことが分かればNIPTの結果と矛盾します。そのような場合、どう理解すれば良いのでしょうか。
結論を申し上げると、羊水検査の結果が全てです。NIPTの結果に関係なく、羊水検査で7トリソミーではないと分かればそれが確定診断となります。
確定診断で染色体異常が否定されると、ようやくほっと一安心できるのではないでしょうか。残りの妊娠期間を穏やかなお気持ちで過ごしていただけることを願っています。
またご不安な点が出てくる度に、遠慮なく無料電話相談をご活用ください。前回と同じ専門家が継続的にサポートさせていただきます。
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