通常二本の対をなす染色体を両親からそれぞれ1本ずつ受け継ぐ分裂の際に、ある番号の染色体において3本になってしまった状態のことをトリソミーといいます。
基本検査のトリソミー検査とは、常染色体の13番(パトー症候群)、18番(エドワーズ症候群)、21番(ダウン症候群)染色体がトリソミーの疾患があるのかを検査します。
性染色体は、元々男女で本数が異なり、正常女性でも1本以外は不活性化と言って活動を抑えるため、トリソミーやテトラソミー(通常2本の染色体が4本の状態)になっても過剰な染色体は不活性化して物質の生産の変動は小さく、常染色体トリソミーと比較して症状は軽く、一生発見されない場合もありますが、稀に重度の障害や、性別に影響を与える染色体であるため不妊や生殖器の奇形が起きることがあります。
性染色体検査で検出できる染色体異常
[名称]
ターナー症候群(XO)
[発症確率]
2,000-3,000人に1人
[主な症状]
低身長、特徴的身体兆候、卵巣機能不全による二次性徴、月経異常などが挙げられる。性腺機能不全を主病態とするため、不妊となる場合が多い。
[名称]
クラインフェルター症候群(XXY)
[発症確率]
1,000人に1人
[主な症状]
学習障害、長い腕と脚、小さな精巣、無精子症による不妊症
[名称]
XXX症候群(XXX)
[発症確率]
1,000人に1人
[主な症状]
軽い知的障害がみられるだけで、ほかに症状はありません。外陰部や卵巣、子宮、腟に異常はなく、二次性徴もほとんどがふつうに現れます。妊娠・出産も可能で、その子どもの大部分は正常な染色体をもって生まれます。母親の高齢出産で生まれる頻度が高いといわれます。
[名称]
XYY症候群(XYY)
[発症確率]
1,000人に1人
[主な症状]
一生を通じて気づかれない場合が多く、最近は個性の範疇とする見方が一般的。高身長、多動、知能の低下などが現れるという報告もあるが逆に知能が高いとする報告もある。
基本検査である13番、18番、21番を含む1番から22番までの染色体のトリソミー検査になります。
常染色体は国際統一命名法で、長い(と考えられた)順に1から22まで番号が振られたが、今では、実は長さの計算が違っていたことが判明したが、番号は変えずに呼ばれています(21番と22番染色体の長さは逆になっています)。
13番、18番、21番以外の染色体に異常があった場合は、遺伝子数の多い染色体疾患に当たる為、出生前に淘汰され出生に至らないケースが極めて高いです。しかしながら、モザイク型(正常な染色体と異常のある染色体が混在する状態)である場合はごく稀に出生に至る事があります。出生率は低いながらも0%ではありません。
トリソミー検査では検知できない、染色体の微細な欠失を検査します。
染色体の長い方を長腕(q)、短い方を短腕(p)といい、例えば1p36欠損症とは、1番染色体の短腕、36領域が欠損している疾患になります。微小欠失検査で検出できるのは下記の染色体異常になります。
[名称]
1p36欠失症候群
[発症確率]
25,000-40,000人に1人
[主な症状]
成長障害, 重度精神発達遅滞, 難治性てんかんなど
[名称]
4p欠失症候群 (Wolf-Hirschhorn Syndrome,ウォルフ・ヒルシュホーン症候群)
[発症確率]
50,000人に1人
[主な症状]
成長障害、重度精神遅滞、筋緊張低下、難治性てんかん、摂食障害など
[名称]
5p欠失症候群 (Cri-Du-Chat Syndrome,猫鳴き症候群)
[発症確率]
15,000-50,000人に1人
[主な症状]
低出生体重、成長障害、甲高い猫のなき声のような啼泣、筋緊張低下、精神運動発達の遅れなど
[名称]
プラダー・ウィリ症候群※ (Prader-Willi syndrome)
[発症確率]
15,000人に1人
[主な症状]
内分泌学的異常(肥満、低身長、性腺機能障害、糖尿病など)、神経学的異常(筋緊張低下、特徴的な性格障害、異常行動)、筋緊張低下による哺乳障害、二次性徴発来不全、性格障害など
[名称]
アンジェルマン症候群※(Angelman Syndrome)
[発症確率]
15,000人に1人
[主な症状]
重度の精神発達の遅れ、てんかん、失調性運動障害、行動異常、睡眠障害、低色素症など
[名称]
22q11.2欠失症候群 (DiGeorge Syndrome,ディジョージ症候群)
[発症確率]
4,000-5,000人に1人
[主な症状]
発達遅延、先天性心血管疾患、口蓋裂、胸腺低形成、低カルシウム血症など
※15q11-q13欠失症候群(染色体15q11-13領域に存在する遺伝子群は、その由来が父親か母親かにより働きがことなっているため、同じ遺伝子異常であっても、父親由来の 遺伝子群の欠失ではPrader-Willi症候群、母親由来の欠失ではAngelman症候群という全く異なる疾患となる。)