新型出生前診断(NIPT)は妊娠中に行われる検査であり、妊婦さんの血液中に含まれる赤ちゃんのDNA断片を検査することで、ダウン症候群やエドワーズ症候群、パトー症候群といった特定の染色体疾患がないかを調べるものです。正式名称を無侵襲的出生前遺伝学的検査または母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査としていて、最近開発・導入されています。
従来の検査よりも精度が高くて信頼できる
従来の母体血清マーカーやコンバインド検査と比較すると、NIPTの方が精度が高いので、結果への信頼性があるという点がメリットです。従来の方法の場合、血清マーカーが感度80%、コンバインド検査83%程度で、NIPTの方は99%です。これにより、赤ちゃんの染色体検査をより正確に発見できるようになり、妊婦さんの安心感にもつながっています。 年齢が高くなるにつれて染色体検査の割合が増えていきますので、高齢出産を希望する場合には結果が非常に気になります。しかし、受けても信頼性の低い方法では結局は精神的に不安定な結果を招くことが多いので、やはり信頼性の高い方法で実施するのが一番です。NIPTは非常に優れていますので、受ければ非常に高い精度で一定の種類の染色体異常を発見することが可能です。 検査は採血のみで受けられて、流産や死産のリスクがほとんどないこともメリットとなっています。非常に安全な方法であり、300分の1の確率で流産や死産が起こる羊水検査や100分の1の確率である絨毛検査と比べると大きく異なる点です。
母体への負担が少なく条件もない
早い段階で検査を受けたいと希望する人がいますが、従来の非確定的検査では妊娠11週以降でないと受けられませんでした。しかし、NIPTなら妊娠10週以降から受けることができ、1日でも早く赤ちゃんの状態を知りたいという要望に応えられます。 必要になるのは10ml程度の血液です。そのため、母体への負担が非常に少なくて、リスクも低いので安心して受けることが可能です。1回採血を行ったら、それほど時間もかからず結果が出るため、待っている時間が短いことも見逃せません。不安を感じている時には待っている期間が長くなるとストレスが増しますが、妊娠中にはストレスが良くありませんので、スピーディーに結果が出るNIPTはとても良い方法です。 実施する際には、年齢制限や夫婦同伴のカウンセリング等の条件があまりありません。つまり、希望すれば誰でも受けられますので、気になる人は早めに希望を伝えておくことが大切です。もちろん条件が全くないわけではありませんので、かかっている病院側に事前に確認しておきましょう。
先進のスクリーニング検査は保険適応外
一般的に普及している出生前診断と比べると非常に先進のスクリーニング検査であり、信頼性は抜群です。ただし、保険適応外となりますので、費用は15万円から21万円程度とやや高額です。利用する施設によっても費用には差がありますので、かかっている病院に確認しないと実際に支払う額は分かりませんが、保険適応の治療と比較するとまとまったお金が必要になりますので、その点は覚えておく必要があります。受けるのは1回だけですので、安心を得るために受けるという意味では決して高くはありません。少しの採血で染色体異常の有無が分かるのですから、不安を抱えながら妊娠生活を送るよりも良い選択です。 妊娠中は普段よりも神経質になって少しのことが気になる人もいます。赤ちゃんの病気は妊婦さんの最大の心配事であり、ストレスによって心身の健康が崩れる恐れもあります。安心して落ち着いた妊婦生活を送るためには不安を少しでも取り除くことが重要であり、その中の一つとしてNIPTという手段があると認識することが大切です。
再検査が必要になるケースは少ない
NIPTの検査では、再検査が必要になることはほとんどありません。ただし、稀に妊婦さんの血漿中に浮遊する胎児のDNA断片量が少なくて、上手く結果が出ないことがあります。その場合は結果保留となって再検査が必要になり、受けないと結果が出ません。 胎児のDNA断片量が少なくなってしまう要因に関しては色々なことが考えられますが、その中の一つに妊婦さんの元々の体質やその日の体調等が関係していることがあります。体調不良の主な原因はつわりであり、いつもよりも体調が悪いと感じる時には胎児のDNAを十分に採取できないこともあります。また、血液中の赤血球が破壊されて赤血球中のヘモグロビンと血液が混ざった溶血という状態になっている時にも、検査結果が上手く出ないかもしれません。溶血の状態になる原因はまだはっきりと分かっておらず、対処法もありませんので、医療機関の指示に従ってもう一度検査を受けることになります。 これらの理由によって稀にではありますが、結果保留という結論が出ることもあります。
上手く結果が出なかった場合の流れ
せっかくNIPTの検査を受けても上手く結果が出なければもう一度受けることになりますが、その場合は費用はかかりません。 判定保留になるケースはそもそも稀ですから、再度実施すればきちんと結果が出ることがほとんどです。特に一時的な体調不良によって胎児のDNA断片量が減ってしまった場合には、回復すれば問題なく採取できます。ですから少し間を置いてから受ければきちんと結果が出る可能性が高くなります。ただし、受けられる期間は限られていて、数週間程度しか実施できませんので、その期間内で採血できるように病院側と相談しながら次のスケジュールを決めることが大切です。 少し厄介なのが、元々の体質であったり溶血で採取できなかったケースです。その場合は再度受けても結果保留となる可能性はゼロではありません。上手く採れない場合には、別の検査を受けることも選択肢に入れて、限られた期間の中で後悔のない選択をすることが大切です。検査に関してはかかっている病院に相談すれば色々と教えてくれますで、一度相談しましょう。
NIPTで保留状態が続いた場合
何らかの要因によってNIPTで保留状態が続いた時、検査結果を確定させるための検査を受けるのが現実的です。それ以上の検査を受けたくないという人は別ですが、結果が欲しい人は羊水検査や絨毛検査を受けるのが一般的です。血液を採るだけの方法と違って、流産や死産のリスクは上昇します。その点を理解しつつ、次のステップに移ることになります。 また、誤解されることが多いのですが、NIPTではいくら精度が高くても確定検査ではありません。つまり、高い確率で21トリソミーや18トリソミー、13トリソミーであることは分かっても、可能性が高いということが分かるだけです。 ですから、陽性反応が出た場合も確定させるために次のステップに移る必要があり、それに用いられているのが羊水検査や絨毛検査であり、その後の流れは同じです。 万が一投薬によって保留となっている場合には、一時的に投薬を中断できないかを担当医師に相談するのも一つの方法であり、病気を抱えている人は病気のコントロールも一緒に考えなければなりません。
NIPTは従来の検査と比較すると非常に精度が高くて信頼できます。検査は採血だけですので妊婦さんの負担が少ないのですが、中には胎児のDNA断片量が少なくて結果保留となるケースもあります。結果保留になったら再検査を行い、それでも上手く採取できなければ羊水検査や絨毛検査といった確定させるための検査が必要です。