NIPTで医療費控除は受けられるの?

コラム

NIPTにかかる費用は決して少ないものではなく、1万円程度で簡単な検査をしてくれるところもあれば20万円以上もの費用がかかるところもあります。単独でも10万円を超える可能性があるだけでなく、他の医療も受けたという場合には医療費控除の対象になる可能性が高いのではないかと思うようになるでしょう。ただ、控除の対象になるのかと疑問になる人もいるかもしれません。控除対象として扱うことができるのかを基本的なところから丁寧に説明するので参考にして下さい。

医療費控除の対象になる条件を確認しておこう

NIPTが医療費控除の対象になるのかどうかを判断するためには控除対象になる条件を詳しく確認しておく必要があります。条件として12個の項目が挙げられていて、そのいずれかに該当するかが重要になります。そのうえで金額的に対象となっているかを判定することにより控除を受けられるかどうかが決まるというのが基本的な仕組みです。まずは12種類の条件を確認しておきましょう。1つ目は医師や歯科医師によって診療や治療がおこなわれたときに支払う対価としての医療費です。健康診断の費用や医師などに支払う謝礼金などは含まれない仕組みになっています。2つ目は治療や療養に際して必要になった医薬品の購入費用です。ビタミン剤やサプリメントなどはこれに該当しないので注意しましょう。3つ目に挙げられているのは病院や福祉施設などに収容してもらったときにかかった役務への大家です。心身のケアをしてくれたサービスへの支払いは該当するということになります。4つ目はあん摩マッサージ指圧師や柔道整復師などによる施術への対価です。疲れを癒すためのマッサージではなく医療行為として認められているものであることが求められます。5つ目に挙げられるのが保健師、看護師などに療養の世話を依頼したときのサービスへの対価です。有資格者かどうかには関わらないので家政婦でも問題ありませんが、家族に付き添いを頼んだときに対価を支払ったとしても控除対象にはならないのが原則になっています。6つ目は助産師による分娩の介助への支払いです。7つ目は介護福祉士などによる喀痰吸引及び経管栄養の対価、そして8つ目は介護保険制度の適用される施設や自宅での介護サービスの自己負担額に相当するものと定められています。9つ目の項目が実はかなり大きな割合を占めることがあるもので、診療や治療、施術などを受けるために必要な費用のうち次の3つの中のいずれかに該当するものです。1つ目は通院費や送迎費、入院のための部屋代や食事代、医療用器具の購入代やレンタル代金と定められています。2つ目は義手や義足、松葉づえや義歯などの購入費用、3つ目はおむつ代で、六ヶ月以上寝たきりになっていて治療を継続して受けている場合に限られます。10個目に挙げられているのは骨髄移植の斡旋を受けたときに骨髄移植推進財団に支払う自己負担金、11個目としては臓器移植の斡旋を受けたときに日本臓器移植ネットワークに支払う自己負担金です。そして、12個目は高齢者の医療の確保に関する法律に規定されている特定保健指導のうちで、一定の基準に該当する人が自己負担した支払い金となっています。このような条件を満たしている費用を1月1日から12月31日まで加算し、保険金などで補填された金額を引き去ったものが10万円以上なら控除を適用することが可能です。ただし、総所得が200万円未満の場合にはその5%以上になっていると控除を受けられます。

NIPTは医療費控除の対象にはならない

NIPTがどの項目に該当するのかを考えてみましょう。新型出生前診断と呼ばれる診断行為というのが特徴で、胎児がまだお腹の中にいる段階で先天的な病気や障害を持っていないかを確認するための出征前診断の一つとして位置付けられています。これは主に産婦人科の医師によっておこなわれる医療行為なのは確かですが、治療ではないので1つ目に挙げた医師による診療や治療には該当するものではありません。この診断自体が保険適用外となっているのものという影響もあって、対象にならない可能性もあるのではないかと考えていた人もいるでしょう。実はそれが問題ではなく、診断結果が出たことにより病気が確定し、治療が進められるようになるタイプの検査ではないのが診療としても認められない原因です。健康診断や人間ドックについて検査費用がどう扱われるかを考えてみるとわかりやすいでしょう。健康診断を受けて肝臓に異常所見が確認されたので精密検査を実施したところ、脂肪肝になっていることがわかって治療を始めたというケースがあります。この場合には治療をするのにつながった検査なので控除を適用することが可能です。しかし、健康診断の結果として全て健康で特に病院に通う必要はないとわかると検査費用は控除対象とはなりません。他の検査の場合でも例えばCT検査をしてがんの部位がわかったので外科治療ができるという場合にはCT検査は診療の一部として認められて控除対象になります。NIPTは遺伝子検査によって先天的な病気を持っているかを調べるだけで、胎児の間に治療ができるというわけではありません。生まれてきたときにどうすべきかを考えられるようにするための検査なので診療や治療にはならないのです。このような理由でNIPTは医師による診療や治療には該当しないということになりますが、他の項目を見てみても該当するようなものはないでしょう。そのため、たとえ20万円の検査を受けたとしても控除を適用することはできないのです。

医療費控除に算入できる部分はある

医療費控除の対象としてはNIPT自体の費用は認められませんが、NIPTを受けたときには控除対象となる費用がある程度はかかる可能性があります。それが9つ目に挙げた項目で、出生前診断をしてもらうために通院するのにかかった交通費については控除対象とすることが可能です。ただ、他にかかる費用はほとんど対象外となってしまうのであまり控除を期待することはできません。信頼できる病院で受けるために遠方まで行ったという場合には適用を検討してみましょう。付き添いの家族の交通費も含められるので、場合によっては数万円単位になることもあります。出産のときには例外的に定期検診の費用やそれに関連する費用も対象になり、さらに出産前後には入院費や食事代などもかかるでしょう。このようなこまごまとした費用を合わせていくとかなりの金額になって控除を受けられることも多いのです。NIPTを受けたときに全く算入できる費用がないというわけではないことはきちんと理解しておくのが大切です。

NIPTにかかる費用は医療費控除の対象にはなりません。これはあくまで検査として位置付けられていて、その検査の結果として治療を進めるという形にならないのが原因です。控除の対象にするための条件として医師による診療や治療への対価でなければならないことが挙げられている影響で、診療や治療として認められる条件を満たしていないNIPTは対象外となってしまいます。ただ、検査を受けるために病院に行ったときにかかった交通費は控除の対象にできます。遠方にまで行って検査をしてもらったという場合には大きな金額になることもあるので覚えておくと良いでしょう。出産をするのと同じ年におこなった場合には出産にかかる医療費や入院費、検査費なども合算することができるので、控除を適用できるようになる可能性も十分にあります。