冷え性がつらい…妊娠中の身体の冷えを防止する方法をご紹介

コラム

妊娠すると、体がだるい、肩が凝って頭痛がひどいなどの、冷えによるいやな症状が起こやすくなります。今まで冷えとは無関係だった方でも冷え性になることもあり、おなかのあかちゃんにもよいことがないため注意したいトラブルです。そこで今回はつらい冷えを改善するヒントとなるよう、妊娠中に起こる冷えの原因や影響と対処法をお伝えします。

妊娠中は冷え性になりやすい

妊娠すると冷えを訴える方は多く、特に妊娠2か月~4か月の間は冷えを感じやすい時期と言われています。冷え方は指先など体の末端の冷え、下半身の冷え、体全体が震えるような冷えなどがありますが、あかちゃんがいるおなかにも冷えが起こるため注意が必要です。また、妊娠以前は冷えがそこまでなかったという方も多いため、なぜ妊娠すると冷えが起こるのか不思議に思われるかもしれません。

妊娠すると冷えを感じやすくなる理由のひとつに基礎体温の上昇があります。妊娠前の女性の基礎体温は約2週間ごとに低温気と高温期を繰り返し、低温気と高温期の体温差は約0.5度あることが一般的です。受精卵が着床すると妊娠を継続するために黄体ホルモンの分泌が活発になり、その影響で体温が高くなります。妊娠後の高温期は胎盤が完成する13週を過ぎたころまで続きます。

高温期が続くと熱っぽさを感じる方がいる一方で、外気温との差を寒気として感じることもあるのです。寒気は妊娠中のホルモンバランスの変化によって自律神経が影響を受け、体温調整がうまくいかないことも原因として考えられます。

また、つわりによる食事量の低下も冷えを引き起こします。食事を取ったあと、なんとなく体がぽかぽかしたり、じんわり汗をかいたりするはずです。哺乳類は体の機能を維持するため、摂取したエネルギーから熱を作り出しています。熱の元となるエネルギーが不足すると体温が維持できず、すぐに体が冷たくなってしまうのです。

妊娠中期に入ってから感じる冷えは、血流の悪さが原因かもしれません。血流が悪いと体の末端まで血液が行き渡りにくくなり、血管が収縮するために冷えを感じます。特に妊娠中期以降は大きくなったおなかが鼠径部にある太い血管を圧迫するため、下半身の血流が悪くなりがちです。また、妊娠が進むと体内の血液は最終的に妊娠前の1.4倍にまで増えますが、赤血球はそこまで増えないため血液内の成分がわりに少ない状態となります。この血液の薄さに加え、妊娠中に分泌されるホルモンの影響で血圧が不安定になりやすいことも手伝って、妊娠後中期以降は血流が悪くなりやすいのです。

妊娠中の冷えがよくない理由

冷えは万病のもとというだけあり、体が冷えるとさまざまな部門に影響を及ぼします。体温が下がることにより免疫機能や代謝、消化や排せつといった体の基本的な機能がうまく作用しなくなるのです。また、体温が下がると血管が収縮し血圧が上がります。心筋梗塞や脳出血などを引き起こすヒートショックも外気温による血圧の急変が原因です。

特に気をつけなければならない点は、冷えがおなかの張りにつながることです。あかちゃんの家である子宮は筋肉でできているため、血流の乱れや冷えによる血管収縮の影響を受けてきゅっと縮まります。子宮が収縮して硬くなった状態が、おなかの張りの正体です。おなかがカチカチになるまで縮まると、あかちゃんは居場所が狭くなり苦しくなります。へその緒の血流も乱れるとなおさら苦しくなり、おなかの張りが頻繁に起こると切迫流産や切迫早産につながる可能性もあるのです。妊娠中は温かく柔らかいおなかを維持することが望ましいと言えます。

体が冷えると胃腸の動きも悪くなります。特につわりの最中に胃腸の調子が崩れるのは、ひどい船酔いの上胃腸炎を併発するようなつらさです。胃腸の働きがよくないとしつこい便秘になったり、消化が進まず胃がもたれたりします。つわりで胃がむかむかとした状態で便秘になると、つわりの症状を悪化させてしまいます。

ほかにも、冷えによって血流が悪くなると起きやすいトラブルとして、肩こりや頭痛などが挙げられます。また、足や体のだるさ、むくみも出やすくなります。これらは妊娠中のマイナートラブルとして有名なものばかりです。冷えがこれだけの影響があるとは知らなかった方も多いのではないでしょうか。

体が温まると血流はよくなりあかちゃんにかかるストレスも減ります。妊娠中の冷えは、外が寒いから冷えるのは仕方がないとあきらめるのではなく、積極的に改善したい問題です。

妊娠中の冷えを防止する方法

冷えを防止するには、まず体の中から温めることを意識しましょう。体の中から体を温めるには、直接体を温める方法や食べ物で温める方法、体内で熱を多く作り出すために代謝を上げる方法があります。

直接体を温めるには、腹巻やレッグウォーマーなどを使用する方法が一般的です。足元が冷えるとおなかが張りますので、特に冬には無理せず防寒グッズを使用しましょう。足の先から体の中を温める足湯も有効です。お風呂の湯よりも少し熱めの湯を使用すると全身にじんわり汗をかくほど温まり、湯冷めする前に靴下を着用すれば長い時間温かさを持続することができます。また、体を冷やさないためには衣類などで体を締め付けないことも大切です。締め付けは血流を悪くします。妊娠すると今まで使用していた下着がきつくなることが多いため、授乳期のことも踏まえて下着を変更することをおすすめします。

食べ物で体を温めるには、水分補給のための水分を温かいものに変更してみましょう。つい冷たいのみものを選んでしまう方は、常温に変えるだけでも効果があります。特に効果的なのは、体を温める効果のあるショウガを使用することです。白湯にショウガのすりおろしとはちみつを入れると、ショウガによって体が温まると同時にはちみつの便秘解消効果も期待できます。冬にはお鍋にショウガのしぼり汁を入れるなども効果的です。また、色の濃い根菜類にも体を温める効果があります。効果的な野菜としてゴボウやニンジン、サツマイモなどが挙げられます。大根には体を冷やす効果があるので、食べ過ぎには注意しましょう。

体の代謝を上げると、体内で熱を作り出す量が増えるため冷えの根本的な改善につながります。代謝を上げるためには筋肉量を増やすことが必要ですが、妊娠中に激しい運動は向きません。しかし、妊娠中だからと動かずにいると、筋力が低下して代謝が落ちてしまいます。つわりのつらい時期が過ぎて、あかちゃんが順調に育っているのであれば適度な運動を開始しましょう。マタニティビクスやマタニティヨガに参加するのがおすすめです。運動を取り入れる場合は、予め医師に可否をうかがっておきましょう。産院で教室を開いている場合もありますので、相談してみるのもおすすめです。

このほかにも、気温の変化が激しい時期には一枚羽織るものを持っていく、エアコンの風の向きに気を付ける、露出の多い服を着ないなど、日常的な予防策を平行して行うことも体を冷やさないためには大切です。

まとめ

あかちゃんの体温は37度位、それを守るのはママの体温です。妊娠中は冷えやすいですが、あかちゃんの暖炉になったつもりで体を温めるようにしましょう。冷えを改善するとママのトラブルも減り、マタニティライフが一段と過ごしやすくなります。妊娠中の冷えはトラブルの元であることを意識して、日ごろからできる対処法を生活に組み込んでみてください。