NIPTが抱える注意点とは

コラム

女性が赤ちゃんを出産する前には、さまざまな検査を受けることになります。検査を受けて異常がないかどうかを判断するわけですが、通常の検査ではわからないことがあるのも事実です。例えば、遺伝子的な病気があり、その検査をしなければわからない場合には、出生してからようやく遺伝子に問題があったことに気がつくことになるでしょう。具体的には、ダウン症と呼ばれる病気がこれにあたります。そこで、事前にNIPTと呼ばれる検査をおこないます。では、その注意点とは一体どのようなものでしょうか。

NIPTをしないとどうなるか知っておこう

NIPTとは、新生児に染色体の病気がないかどうかを判断するものです。染色体の病気がある場合には、ダウン症を始めとするさまざまな状態のまま生まれてくるため、育てるのが困難になることもあるでしょう。母親としては、できるだけ普通の状態で生まれてきてほしいと考えるものです。この場合には、なかなか判断をするのは難しいですが、通常は出生前診断と呼ばれるものをおこないます。最近は、生まれる前から子供の病気の状態などを把握することができるわけです。これを利用すれば、お腹の中の状態が分かり、もし先天的な病気と判断される場合には、堕胎するのも1つの方法と言えるでしょう。もちろん堕胎をする場合には、社会的に引け目を取ると感じる人もいるかもしれません。しかし、それは他人の意見でありその子供を育てるのはその親に他なりません。親の負担を考えれば、やむを得ずと考える人が多いわけです。

実際に、出生前診断を受けて陽性だった人は、9割近くが堕胎をしている現状があります。このように考えれば、やはり出生前診断自体はとても重要になるでしょう。最近出生前診断が注目されているのは、高齢出産の女性が多いからです。30年以上前の場合は、25歳前後で結婚する女性が非常に多かったです。しかし最近は、35歳を過ぎてから結婚する女性も少なくありません。子供の染色体異常による病気の発生率は、高齢出産とともに高まります。一般的には35歳前後で出産する場合には全体の1%程度しかリスクはありません。しかし、40歳を過ぎてしまうとそれが3%を上回ることになり、大きなリスクを抱えることになります。特に初産が35歳以上の場合あるいは40歳以上の場合は、それなりのリスクを抱えていると考えて良いでしょう。

このリスクは、非常に小さなものですが、しかしその1%から3%が自分たちに降りかかってこないとは言い切れないわけです。もし、一万人に一人程度しか染色体異常がないとすれば、おそらく出生前診断のようなものが世の中に広がることはなかったでしょう。しかし、確率的に1%から3%とすれば、数としては少ないものの自分たちがその中に含まれてしまうのではないかと恐れる人が多いです。これは人間の心理的な部分にも絡んでくると言えるでしょう。例えば宝くじの場合、当たる確率が1%と考えると自分が当たるわけがないと考えてしまうものです。しかし、もし100人に1人だけ大金を失うと言う宝くじがあった場合、自分はその1%の中に入ってしまうのではないかと密かに不安を抱いてしまうのが一般的な人間の心理といえます。つまり人間は、ネガティブなことに対しては、過剰反応するようにできています。これはある意味防衛本能と言えるでしょう。

当然ながら、ダウン症の子供などが生まれる可能性は確かにあるため、常に問題があると考えておいた方が良いともいえます。ダウン症をはじめとする染色体異常の場合、後天的に治療して治るものではありません。もしお金がかかるけども染色体異常が治るならば別ですが、そうでない以上はやはりしっかりと検査を受けておいた方が良いとも言えます。

100%正確には結果が出ないと言う注意点

NIPTを利用する場合でも、その精度はかなり高いと言われています。陰性だった場合の可能性は99.9%正しいと言われているほどです。つまり、陰性と判断された場合はほとんどの場合染色体異常になっている可能性はありません。しかしこの場合でも、ほんのわずかながらに間違えた結果が出ることもあるようです。100%と表記しないのは、検査である以上は100%はありえないとするのが理由です。そのため、ほぼリスクはないと言っているのですが、もしかしたら正しい結果が出ない可能性も否定できないでしょう。偽陰性の場合には、染色体異常なのに染色体異常でないと判断されることを意味しているわけです。これはある意味、染色体異常がないのに染色体異常があると判断される偽陽性よりも厄介といえます。本人たちはおなかの中の胎児に何ら染色体異常がないと安心しているのに、その後生まれてきた子供が染色体異常になっている可能性があるわけです。ほとんど例はないものの、そのような危険性があることを頭の片隅に入れておくと良いかもしれません。

陽性だった場合の注意点はどうか

もしNIPT検査をした場合でも、陽性になる可能性もないわけではありません。実際に40歳以上で出産する場合は3%程度の胎児が染色体異常になる可能性があると判断される以上は、やはり検査をした場合でも3%位は陽性と判断される場合があります。陽性と判断された場合には、もしかしたら偽陽性の可能性があるでしょう。実は、偽陽性は偽陰性に比べると多く出やすいと言われています。

つまり、出生前診断をしたとしても、陽性と判断される場合は正しい結果かどうかわからない可能性もあるわけです。そこで考えられるのは、別の方法で診断をすることです。NIPTの検査をした後陽性だった場合、今度は羊水検査と呼ばれるものをおこなうことになります。この羊水検査とは、お腹の中の羊水を取り出して遺伝子がどのようになっているかを把握することです。血液で判断する場合に比べると、リスクは大きいといえます。なぜなら、直接お腹の中に刺激を与える行為だからです。これもある意味リスクと考えるならば、この点に関しても警戒しておかなければならないでしょう。

ただ、客観的な数字だけで判断すると、99%程度の人は、副作用などが起こる可能性や流産する可能性はないわけです。NIPTに関しては、陰性が出るか陽性になるかのどちらかになります。しかしながら、場合によってはどちらにも該当しないこともあるでしょう。これは結果が出なかったことを意味していますが、なぜ検査をしたにもかかわらず結果が出ないかと言えば、例えば採取した血液の量が少ない場合です。血液の量が少ないと、染色体に関する情報が明確でなくなるため、もう一度血液の採取をする必要があります。ただ、必要な量の血液はあらかじめわかっているのに、採取する量が小さいと言うのは検査自体に慣れていない病院がおこなっている可能性があります。また病院の中でも、不慣れな人が検査をしている場合もあるため、あらかじめ病院選びを考えておかなければいけません。病院選びによっては、リスクが発生してしまう恐れもあります。料金で決める方法もありますが、料金は一律で決まっているわけではありません。概ね自由診療となっているために料金の変動はよくあります。最近は20万円前後でおこなうことができますが、今後より安くなってくることも考えられるでしょう。

では安いところと高いとこのどちらが良いかと言えば、どちらも変わらない可能性もあります。腕前が悪いから安いと言うわけでもなさそうです。そのように考えるならば、いくつかの病院を比較して選んだ方が良いでしょう。特に妊婦さんの場合は、これからお金がかかるので出ていくお金などにも充分意識を払っておくべきです。

NIPTと呼ばれる出生前診断は、血液を採取するためあまり危険はないとされています。ただ、検査に付随して危険性があることは念のため理解しておくべきでしょう。例えば、出生前診断をおこなった場合、陽性と判断されることもあります。この場合には、リスクがやや高い羊水検査などを別途おこなわなければいけない点は注意が必要となります。