NIPTは、出生前診断の一種です。出生前診断とは、おなかの中にいる赤ちゃんが、遺伝子異常を持っているかどうかを、調べるための検査です。NIPTは新しくできた検査方法で、妊婦さんの血液の採取のみでおこなわれるため、妊婦さんと赤ちゃんにとっては、負担の少ない検査となります。
出生前診断にはいくつか種類がある
出生前診断にはいくつか種類があるのですが、NIPTは新しくできた検査方法で、他の検査方法と比べて検査結果の正確さが高いために、話題になり注目を集めています。出生前診断は、基本的には35歳以上の妊婦さんが対象になっています。妊娠したときが34歳でも、出産予定日に35歳になる人は対象になります。また、医療機関によっては年齢などの条件にかかわらず、検査を受けさせてくれるところもあります。医療機関によって、出生前診断を受けられる条件はバラバラです。また、どの検査を受けられるかも、調べてみないとわからないので、かかりつけの病院が出生前診断を受け付けてくれるかどうか、よく聞いてみたほうが安心です。一般的に、妊婦さんの年齢が高いほど、おなかの赤ちゃんに遺伝子異常が起こりやすくなると、言われています。ただし、若い妊婦さんであれば、遺伝子異常が起こらないというわけではありません。若い妊婦さんから、遺伝子異常を持った赤ちゃんが生まれてくる可能性もあります。妊婦さんの年齢が若くても、確率が低くなるというだけで、可能性はゼロではないのです。そのため、若い妊婦さんでも、念のために出生前診断を受けたほうがいいと言えます。 出生前診断によって、調べられる遺伝子異常にも、いくつかの種類があります。NIPTで調べられる遺伝子異常は、「ダウン症候群(21トリソミー)」「エドワーズ症候群(18トリソミー)」「パトー症候群(13トリソミー)」などです。 トリソミーとは、通常では2本で1セットとなるはずの染色体が、3本になってしまう遺伝子異常です。たとえば、ダウン症候群の21トリソミーは、21番目の染色体が3本になっている状態です。何番目の染色体に遺伝子異常が起こるかによって、症例が変わります。トリソミーなどの遺伝性疾患のある子どもは、発達に遅れが生じたり、かかりやすい病気があったりと、特別な支援が必要な状態となります。診断なしの状態で、遺伝性疾患を持った赤ちゃんを出産した場合、何の知識もなく心の準備もできていないと困ります。 ただでさえ大変な出産直後に、さらなる負担を強いられないように、出生前診断を受けたほうが良いと思います。 出生前診断には、非確定検査と確定検査の2種類があります。検査を希望した妊婦さんは、まず非確定検査を受けることになります。非確定検査は、妊婦さんと赤ちゃんへの負担が低い検査です。その代わり確定検査のほうが正確です。 非確定検査で陽性の判定が出ても、まだ赤ちゃんに遺伝性疾患があると、確定したわけではありません。確定検査を受けて、初めて結果が確定されるのです。一般的に非確定検査で、陽性の判定が出た場合に、確定検査を受けることになります。
非確定検査のダウン症候群の検出率
非確定検査のダウン症候群の検出率は、母体血清マーカー検査で81%、コンバインド検査で82%から87%、NIPTでは99%となります。体への負担が少ない非確定検査の中では、NIPTが一番正確に、赤ちゃんに遺伝性疾患があるかないかを調べることができるのです。 確定検査には絨毛検査と羊水検査の2種類があります。どちらの検査も、染色体の異常によっておこる疾患を、全般的に調べることができます。その検出率は99.99%以上です。 それならば、はじめから確定検査を受けさせてくれればいいじゃないかと思ってしまいそうですが、確定検査は妊婦さんと赤ちゃんの体に負担がかかりやすく、わずかながら死産や流産のリスクがあるのです。 絨毛検査は、妊婦さんのおなかに長い針を刺して、胎盤の繊維をとる検査方法です。妊娠14週ごろまで受けることができます。流産のリスクは0.5%から1%です。羊水検査は、おなかに針を刺して、子宮の中の用水を吸い取って調べる検査です。妊娠18週ごろまで受けることができます。流産のリスクは0.2%から0.3%です。 いくら確立が1%以下とはいえ、赤ちゃんに危険があるかもしれない検査を、いきなり受けるのは安全ではありません。それよりも、先に非確定検査を受けて、さらに詳しく調べる必要があるときにだけ、リスクのある検査を受けたほうがいいのです。 出生前診断は、医療機関によって年齢制限があって、出産予定日に35歳以上になる妊婦さんしか受けられない可能性があります。自分のかかりつけの病院が、検査に年齢制限のあるところで、検査を受けられないとなると、他の医療機関を探さないといけません。 出生前診断に年齢制限がある理由は、妊婦さんの年齢が35歳以上になると、赤ちゃんに遺伝性疾患がある確率が上がるからです。35歳よりも若い妊婦さんなら、遺伝性疾患を持った赤ちゃんが生まれてくる確率が少ないから、わざわざ検査をしなくてもよいだろうという考えです。 医療機関の規模によっては、すべての希望者に対して検査を実地することができないため、検査対象を絞っているところもあるかもしれません。しかし、条件が合えば34歳以下の年齢でも検査を受けさせてくれる医療機関もあります。 たとえば、妊婦さんが遺伝性疾患を持った赤ちゃんを出産したことがあるとか、夫婦のどちらかが染色体転座の保因者であるとか、赤ちゃんに遺伝性疾患が起こりやすい条件であるならば、34歳以下の年齢でも、検査の対象になる場合があります。 また、一切の条件がなく、希望者全員が出生前診断を受けることができる医療機関もあります。数は少ないかもしれませんが、インターネットなどで探せば見つかります。 若い妊婦さんからでも、染色体異常をもつ赤ちゃんが産まれる可能性はあります。確率が低いというだけで、まったくないというわけではないのです。本来ならば妊婦さん全員に、非確定検査を受けてもらったほうが、良いはずなのです。 妊婦さんにも赤ちゃんにも、負担の少ない検査方法があるのなら、妊娠したときには念のため受けておいたほうが、良いと思われます。非確定検査の中でも、特に検査結果の精度が高い、NIPTを受けていれば、出産時の不安感も少しは安らぐのではないのでしょうか。
遺伝性疾患にも出生前診断にもさまざまな種類がある
赤ちゃんの遺伝性疾患にも、出生前診断にも、さまざまな種類があります。将来妊娠出産を希望しているなら、詳しく調べて知っておいたほうがいいですね。自分が住んでいるところから、通える場所に、検査が受けられる医療機関があるかどうかなども、あらかじめ調べておいたほうが、いざというときにあわてなくても済みます。 また、将来子どもを持つ気はないとか、そんな予定は全然ないと思っている人も、いつ何のきっかけで予定が変わるかわかりません。家族や友人に赤ちゃんができて、出産前に相談に乗ることがあるかもしれません。人生何が起こるかわからないのです。知らないよりは知っておいたほうがよい知識だと思います。
妊婦さんがNIPTを受けていれば、99%の高確率で検査の結果が確定しますので、他の非確定検査を受けるよりも、正確な結果を知ることができます。検査結果が陰性であれば、他のリスクのある検査を受ける必要もなくなります。